先日、八王子駅でちょっとした「いざこざ」に遭遇しました。おとなしそうで真面目そうな学生に、一見、土木作業員風の威勢のいい中年男性が「肩がぶつかった」などと大声を張り上げながら、学生に激しく迫っていたのです。身の危険を感じた学生が駅員に合図を送り助けを求めると、すぐに駅員が飛んで来ました。しかし、ここからが大変で駅員がなだめても、作業員風の男性(A)はエスカレートするばかりで収まりません。Aは肩で若者を小突いています。私が「手を出したら警察を呼ぼう」と携帯電話を握ったちょうどその時に、作業員仲間と思われるBが突然、輪に加わったのです。Bは駅員に向かって「Aはこの辺りでは敵ナシの凄い男なんだ」と訴えていたので、はじめ私は、BはAの加勢をしているのだと思いました。しかし、BがAを「誉める」うちに、Aは少し穏やかになり落ち着いてきたのです。するとBは、今度はAに向かって「兄貴も声がデカイからみんなをビビらせちゃって…」とAを諌め始めたのです。Aが苦笑いを浮かべた瞬間に若者を引き離し、うまく逃がしたのです。そのさばきはお見事でした。Bはその後も「Aの強さを誉めまくり」、駅員も帰した後、すっと去って行きました。
AやBの状況をISISをめぐるものに置き換えるつもりはありませんが、一点だけ重なった思いを述べれば、力技だけでISISをめぐる深刻な問題を解決できるとは思えないということです。テロに屈してはならないのは当然です。しかし、それは武力行使だけを意味するものではありません。難民や子どもたちへの医療・食糧・教育支援など、世界の役割分担の中で日本が担える重要な仕事は山ほどあるのです。それらの役割も軍事と同様に危険を伴うものだし、決して楽な役回りではありません。しかし、日本ならできるし、現にやっているのです。
ISIS問題の解決に向けた答えは1つではなく、知恵を駆使した多角的なものになると考えています。