共和党が上下両院で過半数を占めました。「オバマ氏不人気響く、政権運営困難に」「あせた希望、冷めた現実」などと一部メディアには週刊誌ばりの見出しが並んでいます。しかし、私は今の米国がそこまで深刻な状況にあるとは考えていません。共和党の勝利も「地滑り的」とまでは行かない想定の範囲内でした。一つには米国の経済がそれほど悪くない。それどころか、EUや日本と比べれば遥かに良い回復基調にあるからです。もう一つは共和党にスターが不在で、今なお昨年の財政問題を巡る「政府機関閉鎖危機」で執行部への不審が残っているからです。むしろ、今回の選挙総括をすれば「政治不審による両者痛み分け。政治離れ、無関心層の増加により投票率低下を招いた」と言えるでしょう。私の見方は変わりません。オバマ政権は今までより国内に目を向け「やや小さな政府」にシフトする。外交面での米国のプレゼンスは縮小傾向となり、特にその影響は対中国で表れる。ただし、共和党からの軟弱批判をかわすため、対「イスラム国」では強硬策の可能性があり、戦争とテロの危険性は増すと考えます。世界的な金融緩和の流れは格差拡大を生みます。その対策しだいでは二年後の大統領選はまだ読めません。