消費税を予定通り値上げするかどうかの判断を下す期日が二ヶ月ちょっとに迫りました。私の現時点での考えを述べれば、「値上げの決断は徐々に難しくなり、『否』に近づきつつある」と感じています。
理由の一番は、「景気回復の鈍さ」にありますが、それだけではありません。自民党政権に戻ってから、まもなく丸二年を迎えます。かなりの速度で無駄遣いが増えているように感じてなりません。「消費税の値上げ分は全額、社会保障費に充てられる」。これはきちんと法律にも書かれています。しかし、実際に新たな8兆円近くのお金が三%の値上げによって政府の懐に入ると、心理的にも財布の紐が緩みがちとなります。民主党政権時代には「事業仕分け」などを枝野さんや蓮舫さん中心にやり、無駄遣いへの警鐘を鳴らし続けて来ました。しかし、今ではあの事業仕分けだって、悪口を言われるばかりでその節約の精神は忘れ去られようとしています。
公共事業でどこに飛んで行くかわからぬ矢の行方に気を揉むよりは、いっそ消費税値上げを1、2年先送りするべきではないか。「議員定数の削減」等、無駄遣いを自ら正し、人口減少社会への対応と介護や子育て等、「社会保障の設計図」をもっと明確に与野党で議論してからでも、消費税値上げは遅くないと感じています。
もう一つ、あまりメディアも取り上げないので書きます。消費税値上げの鍵はやはり、「景気を失速させない」ということです。その意味で大切なのは日銀の役割ですが、私は今の総裁をあまり信用できません。発言が軽すぎる。特に就任当初の一番重要な時期に「不用意な過激発言」を繰り返したために、今や市場と対話できなくなってしまいました。為替や株価をコントロールするツールは限られています。よって「口先介入」を賢明に駆使して、各国の中央銀行は巧みに市場を操るのです。それができない総裁のまま、消費税値上げはきついと思います。これ以上書くと悪口になりそうなので、この辺で止めます。