どうやらスコットランド独立の住民投票は反対多数で、「否決」は間違い無さそうです。米国に続き経済復調の兆しが明らかな英国でしたが、意外なところで脆さを露呈したと見る向きもあるでしょう。また、否決というこの結果でも英国の威信低下は免れないし、利上げの見通しも立たない中で各国通過に対するポンドの価値は高過ぎるのではないかという議論もあるかも知れません。
しかし、私は今回の独立問題を通じ、英国における成熟した民主主義をまざまざと見せつけられた思いです。そもそもこの問題の発端は独立を公約としたスコットランド民族党の勝利を受けて、2012年に英国政府がスコットランド独立の住民投票の実施を認めたことから始まります。北朝鮮ではもちろんのこと、中国でも、韓国だって、自国の一部地域が独立を掲げて行う住民投票を果して許すことができるでしょうか。私は日本だって怪しいと思っています。英国ほど民主主義が定着しているとは言えない日本で、たとえば沖縄が独立したいと言い出したら、きっと公共事業だ、特区だと札びらをばら蒔いて、潰してしまうんではないでしょうか。しかも、英国では紳士的淑女的に女王や政治家、文化人などが持論を述べ説得を試みはしましたが、その過程で嫌がらせや暴動が起こったという話は聞きません。公的な選挙演説で脱原発を語ろうとするだけで、原発推進企業の社員が並んで睨み付け威圧しようとする日本とは、悔しいけど、民主主義の質に差を感じます。
粛々と公正に行われた選挙の結果を受けて、英国がスコットランドをはじめ、ウェールズ、北アイルランドといかに一体感を高めて行くのか、これからも注目し、かつ、謙虚に学んで行きたいと思います。