昨日の朝日新聞朝刊(5月20日付)によれば、東京電力福島第一原発事故がもっとも過酷な状況に直面していた時「第一原発の所員の9割が、吉田昌郎所長(当時)の待機命令に従わず、現場を離脱した可能性が高い」ことが、吉田調書から明らかになりました。
私はこの記事を読んだ時、はじめは「2号機の衝撃音を聞いて、所長の命令を無視して、所員が敵前逃亡したのか!?とんでもない!」と怒りを爆発させていました。しかし、冷静に考えると「日頃から訓練を受け、それなりの覚悟を持って非常事態に臨む日本人所員が、果して9割も命令違反をするだろうか?」という疑問が湧いてきました。
あくまで私の推論ですが「現場の吉田所長より重い命令が、どこかからかあったのではないか!?たとえば、社長から!」。実際、東電清水社長は(2011年3月14日深夜から15日未明にかけて)複数の関係大臣等へ何度も『第一原発から撤退したい』と打診していたことが、関係者の証言から明らかにされています(東電は認めていない)。
それを受ける形で、菅直人総理が東電本店に乗り込み、「撤退などあり得ない!!」と明言して、政府と東電の対策統合本部が立ち上がるのです。2011年3月15日早朝ちょうど菅総理が東電本店に乗り込んでいる頃、(東電幹部の命令を受け?吉田所長の待機命令が無視され)9割の所員の第一原発撤退が始まりました。その後、政府と東電の統合本部立ち上げ決定を受け、6時間後の昼すぎ、撤退していた所員が第一原発へ戻ります。時間的にも私の推論は辻褄が合うのです。
いずれにせよ、「吉田調書」からさまざまな歴史的新事実が明らかになると同時に、原発過酷事故が残す多くの教訓を学べるはずです。政府事故調関係者はこの期に及んで後ろ向きの発言をするべきではないし、原子力規制委員会は吉田調書の公開を政府に求めるべきです。そして、安倍政権は断じて吉田調書を隠蔽することなく、速やかに公開するべきです。