先日、亀山市歴史博物館で、歴史ひろば「~指定文化財紹介~中世文書を読み解く」を見てきました。
出品されていたのは、同館に寄託されている県指定文化財の「紙本墨書石上寺文書」20通(21通?)と「波多野文書」9通。
そして、同館所蔵の岡本家文書6通と、豊臣秀吉朱印状(堀尾帯刀宛知行目録)2通。
展示室の入口に翻刻文・書き下し文が置かれていたのも便利だし、展示図録がPDFファイルでアップ*されているのも、親切と感じました。
ところで、それら計37(38?)点の文書の中で、私が興味を感じたのは、一つには、亀山市域に残る最古の古文書という「熊野検校覚仁法親王令旨」。
もう一つは、「永奉寄進 石上寺新熊野権現」と記された寄進状。
1761年完成とされる、藤堂元甫『三国地誌』(1761年)巻之二十六伊勢國鈴鹿郡の「梵刹」を見ると、
〇石上寺 按 那智山と號す 延暦年中開基 新熊野祠の別當なり 武家祈願の書軸あり 中古廢す 近世寺號を追ひ小堂を建つ。
また、『勢陽五鈴遺響』4鈴鹿郡の「和田」に
新熊野権現社 同處ニアリ延暦中勧請ノ處ニ(略)又社傍ニ新熊野石上寺アリ 那智山ト號ス
と書かれているので、石上寺は、近世に再興。
新熊野権現社(祠)の別当寺ということになるでしょうか。
上画像は、現在の那智山石上寺。
亀山市和田町の旧東海道沿いにあり、
宗派は高野山真言宗。
本堂脇には、「紙本墨書石上寺文書」という、
県教育委員会と亀山市教育委員会の案内板。
本堂の右には地蔵堂があり、
また、本堂左手の石段を上っていくと「仁王護国経般若経石塚」の石柱、
そして、そのさらに奥、林の中に、熊野権現社がありました。
「熊野山大権現」の扁額は、市指定文化財で、亀山市歴史博物館に寄託。
ただ、残念なことに、私が見に行った折は、実物ではなく、写真の展示でした。