(前回より続く)
楠原宿を出て、伊勢別街道を椋本宿に向かいます。
中ノ川を渡り、坂を上ると、林の集落。
『伊勢参宮細見大全』(1766年)が、
林村(略)上り下り立場茶店有
と書いているように、ここもかつては立場。茶店がありました。
また、林村は1889年、楠原村や中縄村と合併し、「明村」(あきらむら)に。
その中心部であった林集落には明小学校があり、「旧明村役場庁舎」があります。
1916年の建築で、木造二階(一部平屋)建、国の登録有形文化財*だそうです。
また、この林集落の真言宗御室派普門寺は、
現地に立つ案内板によれば、かつては天台宗の観音寺。
天正二年滝川一益によって焼き払われ、再建された際に、真言宗に、また普門寺と改められたそうです。
『伊勢参宮名所図会』(1797年)にも、
観音堂 大同元年の草創なりといへども、天正二年瀧川一益兵火にかゝつて今はなし。
と紹介されています。
さて、林集落を抜け、県道津関線を横断する交差点には、上画像の常夜燈。
竿には、「左り 京道」、
正面は「御神燈 右さんぐう道」です。
県道を横断し、中縄の集落を抜けると、横山池。
幅700m・奥行300m・深さ5m、慶應二年完成という溜池で、南には摺鉢山(奥には経ヶ峰)。
北には鈴鹿山系の仙ヶ岳や野登山。
そして、椋本の集落には、上画像の道標。
建立年は不明ですが、「右榊原道」「左さんくう道」。
参宮道はこの角を北(左)に折れ、次の窪田宿に向かうことになります。
*JIA三重編『三重の建築散歩』(月兎舎、2013年)