先日、三重県伊賀市の南宮山に行きました。

 

 岐阜県西濃地方、大垣市・垂井町境の南宮山は、美濃国一宮の南宮大社が登山口。

 

 それに対して、三重県伊賀市の南宮山の登り口は、伊賀国一宮の敢国神社です。

 

 

 ただ、以前のブログ「敢国神社」に書いたことと重なってしまうのですが、『源平盛衰記』巻三十五**の「範頼義経京入事」に、

 

 當國ノ一宮南宮大菩薩ノ御前ヲハ心計ニ再拝シテ

 

 室町時代の成立とされる「大日本國一宮記」*に、

 

 敢國神社 號南宮。金山姫命也 伊賀阿拝郡

 

 吉田兼俱「延喜式神名帖頭註」(1503年)*にも、

 

 伊賀阿拝郡

 敢國 南宮也。金山姫命

 

と書かれているので、敢国神社も中世においては、「南宮」と呼ばれていたのだろうと思います。

 

 

 

 さて、敢国神社に詣でた後、鳥居前の道を、さらに東に進むと、

 

 

 右手に倒れた、「NHK伊賀TV中継所登山口」との道標。

 

 実は、これが南宮山の登山口で、右折し登っていくと、

 

 

NHKのTV中継所があり、

 

 

鳥居の立つ、山頂に出ました。

 

 

 小祠は、敢国神社末社の「浅間社」。

 

 

 

 藤堂元甫『三國地誌』(1763年)巻之六十二、伊賀國阿拜郡の山川に、

 

南宮山 俗云小富士 按延長風土記ニ出ル南宮ノ故址アリ(略)寛永中修験小天狗山頂ニ富士祠ヲ建故今呼テ小富士トモ云

 

と書かれているように、寛永年間に富士祠が建てられ、俗に「小富士」と呼ばれることに。

 

 

 山頂にある、標高349.89mの三等三角点の点名も「小富士」です。 

 

*塙保己一編『群書類従. 第壹輯』(経済雑誌社、1898年再版)