三重県多気郡多気町長谷に、丹生山近長谷寺があります。

 

 

 駐車場に車を入れ、参道を登ると、

 

 

境内が見えてきました。

 

 

 

  近長谷寺(きんちょうこくじ)の寺宝は、国重文の十一面観音立像と、

 

 

 国重文の「實錄近長谷寺堂舎幷資材田地等事」(近長谷寺資材帳、上・下画像*)。

 

 

 資材帳によれば、同寺は、「飯高宿祢諸氏法名佛子觀勝之御蔭」で、「仁和元年」(885)の建立。

 

 また末尾に、「天徳二年十二月十七日」との文字が見えるので、この資材帳は平安中期、天徳二年(958)の写しということになりそうです。

 

 

 なお、本堂は元禄七年(1694)の再建で、県指定の文化財。

 

 

庫裏は江戸後期の建築で、多気町指定の文化財です。

 

 

 本堂・庫裏の拝観は日祝日のみで、拝観料は200円。

 

 

 堂内の撮影は禁止、ということで、画像はないのですが、本尊は像高660cmの巨像で、なかなかに壮観。

 

 左手に蓮華を生けた水瓶、右手には錫杖を持って直立する「長谷寺式」の十一面観音でした。

 

 

 ところで、庫裏の壁に「近長谷寺城址」との案内板があり、櫛田川の中流域から遠くは伊勢湾まで見渡せる山頂とのことだったので、登ってみたのですが、

 

 

山頂には、錆びたトタン屋根のかかった小さな祠があるのみで、

 

 

菅島や小浜半島が見えるように描かれている展望図は、すっかり薮の中でした。

 

*文部省編『日本國寶全集. 第54輯』(日本國寶全集刊行會、1933年)