先日、遅ればせながら、分散初詣ということで、多気郡大台町の「瀧原宮」に行ってきました。

 

 

 瀧原宮は、旧熊野街道沿いにあるので、かつては、熊野詣や、関東・東海方面からの西国三十三所巡礼の旅人も、ここに立ち寄ったのだろうと思います。

 

 暁鐘成『西國三十三所名所圖會』(1853年)の卷之二を見ると、「一之鳥居」は往来の左で、

 

 

「杉の大樹生繁りて尊し」と書かれる杉木立の、長い参道を進むと、

 

 

社殿が見えてきました。

 

 

 手前が竝宮で、

 

 

奥が瀧原宮。

 

 「神道五部書」の一つである「倭姫命世記」*によれば、「瀧原宮一座」は、

 

 靈御形鏡座。水戸神。名速秋津日子神是也

 

 それに対し、「並宮一座」は

 

靈御形鏡坐。速秋津日子神妹秋津比賣神是也

 

 また、先述の『西國三十三所名所圖會』によれば、本宮の祭神は速秋津彦命、並宮は速秋津姫命であり、不動明王を本尊とする神宮寺や、卅三躰の観音堂もあったようです。 

 

 

 さて、この瀧原宮の特徴は、御舟倉があり、また伊勢神宮と同様に、遷宮が行なわれること。

 

 現在の殿舎は東側の敷地であり、

 

 

西側の古殿地には、心御柱を納める覆屋があります。

 

*『国史大系』第7巻(経済雑誌社、1898年)