上図は、名古屋鉄道局編『中部日本名勝案内圖』(社団法人ジャパン ツーリスト ビューロー發行、1928年11月再版)。

 

 かつて、「伊セ川口」は、岩田橋を起点とする中勢鉄道の終点でした。

 

 そして、1931年9月11日、名松線の井関~家城間が運輸営業を開始*し、伊勢川口で中勢鉄道と接続。

 

 『最新三重縣案内』(伊勢新聞社、1932年)の「一志郡川口村」の項に、

 

 中勢鐵道の終點にあたり久居津方面への交通に便する外昭和六年九月省線名松線の開通と共に松阪方面への交通至便となり、尚ほ名松線は参宮線、参宮急行電鐵に連絡してゐる。

 

とありますから、当時は交通至便の地だったということになります。

 

 しかし、中勢鉄道は、1943年2月1日、久居伊勢川口間の鉄道運輸営業を廃止しました**。

 

 

 

 上画像は、本年6月撮影の、JR名松線の伊勢川口駅。

 

 待合室のみで駅舎はありません。

 

 『三重県統計書』(2020年刊)によれば、2018年度の一日平均乗車人員は12人で、

 

 

待合室内に掲示されていた時刻表によれば、松阪方面・伊勢奥津方面ともに、一日八本の運行です。

 

 

 側線が残るので、運行本数が多かった頃は、この駅で列車交換を行っていたのでしょうが、

 

 

 上画像は、伊勢奥津方面、

 

 

 続けて上画像は、松阪方面。

 

 一面一線の単式ホームは、徐々に雑草に覆われつつあるようです。

 

*『官報』1931年9月8日。

 

**『官報』1943年3月2日。