上画像は、近畿日本鉄道「国定公園 鈴鹿山系」。
かつて近鉄は、このようなリーフレットを二十種類ほど、出していました。
裏表紙は近鉄の路線図。
「昭和55年4月現在」なので、東大阪線がない代わりに、近鉄養老線、北勢線、内部・八王子線、伊賀線はもちろん、東信貴鋼索線も健在。
枚岡には「レクリエーションハウス」、柏原には「玉手山遊園地」との文字も見えます。
さて、巻三つ折りクロス二つ折りのリーフレットを開いてみると、内面は、和楽路屋版の地図。
昭和55年ですから、三岐鉄道もまだ三里駅ではなく宇賀渓口駅。宇賀渓キャンプ場との間を、三岐バスが結んでいました。
「水晶キャンプ場」や「国民宿舎宇賀渓ロッジ登竜荘」も描かれています。
続けては、湯の山温泉・御在所岳付近。
湯の山温泉駅近くに「湯の山キャンプセンター」、希望荘近くに「湯の山ハイランド(貸別荘)」、温泉街に「四日市都ホテル和風湯の山別館」、山頂には「御在所山上ホテル」があります。
1972年開通の鈴鹿スカイラインが描かれていませんが、「国土地理院承認昭41」とあるので、版が古かったのかもしれません。
ところで、この地図を編集した「和楽路屋」(ワラヂヤ出版)は、1872年創業の老舗。
関西では観光地図や道路地図で知られた出版社でしたが、2002年に自己破産しました。
カーナビの普及により紙の地図が売れなくなったことが原因とか*。
一枚の地図ではありますが、時々、時代のうねりのようなものを、感じることがあります。
*天野了一「曲がり角のカーナビゲーション」、同志社大学『社会科学』第40巻第4号(2011年)