上画像は、北岳の山頂に設置されている三等三角点の標石。

 

 点名は「白根岳」で、標高は3192.52mです。

 

 柱石は15cm角の花崗岩(御影石)で、右上に見えている岩塊は玄武岩、それに対して、左下は泥岩でしょうか。

 

 この三角点の特徴は、柱石が新しく、基部がコンクリで固められており、さらに銘鈑があること。

 

 

 露出、転倒したため、2006年7月に交換され改埋されたようです。

 

 点の記を見ると、旧設置は1904年7月7日で、選点は同年6月19日、選点者は吉村武雄です。

 

 その1904年の7月に、鳳凰山と北岳に登ったW.ウェストンは、 The Playground of the Far East (1918)の第7章で、次のように書いています。

 

 I  accordingly  repaired  to  meet  my  faithful  helper  on  many  expeditions ,  Shimidzu chokichi . He was unable , however , to join me for the moment , as he had been commandeered by a surveyor  of the Sanbo Honbu ("general staff")

(略)

 ChoukichiI , who  had  been  climbing  with  a  Sambo  Honbu surveyor , in  the  Shirane  range  above  us , 

 

 ウェストンにとって忠実な助手だった清水長吉は、参謀本部によって徴用され、surveyor(測量技師)と一緒に、白根山脈(連山)に登っていた、ということになります。

  

 この時の測量技師は、吉村武雄だったかもしれません。

 

 

 さて、霧が晴れるのを待っていたのですが、むしろ濃くなるばかり。 

 

 1904年7月のウェストンは、

 

a descent in the rain to our bivouac by the pool ,

 

 池の傍のビヴァーク地へ雨の中下山しているのですが、私も白根御池への下山途中、雨に降られることになりました。