(「古い記念切符から」より続く)

 

 今日と明日は、国鉄バスの記念乗車券を何枚か見ていただこうと思います。

 

 

 上画像は、1980年8月25日、名古屋駅発行の「国鉄名神ハイウェイバス」の記念乗車券。

 

 図柄は廣重画の「東海道五拾三次之内 土山」で、田村川を大名行列が渡っています。 

 旧東海道は、この後、田村神社の社叢の中を左折し、土山宿に向かっていました。 

 

 

 続けては、同乗車券の裏面。

 

 右下に「国鉄バス50周年」と書かれています。

 

 国鉄バスの前身、省営自動車が開業したのは、1930(昭和5)年ですから、1980(昭和55)年は「国鉄バス50周年」でした。

 

 最初の路線は、愛知県の岡多線(岡崎多治見間)及高蔵寺線(瀬戸記念橋高蔵寺間)で、同年12月20日の営業開始です*。

 

 

 写真は、『省営自動車十年史』(1940年)**より、「岡多線のバス・トラクター」。

 

 当時は、バスの後ろに、貨物輸送用の「トラクター」が付いていたようです。

 

 ちなみに、全国二番目の路線は、1931年5月11日に開業した「三山線」(三田尻山口間)***で、三番目が1932年3月25日の「亀三線」****。

 話が記念乗車券の図柄に戻るのですが、「亀三線」は、田村神社近くの「田村前」や旧土山宿の「近江土山」停車場を経由し、亀山三雲間を結んでいました。

 

 ただ、この「亀三線」、後に「亀草線」と名称を変更し、65年間運行を続けたのですが、1997(平成9)年、廃線に*****。

 

 「名神ハイウェイバス」を先駆けとする高速バスは、その後、全国に拡大しましたが、一般道を走る路線バスの方は縮小の一途を辿っているような気がします。

 

 「名神ハイウェイバス」が開業したのは1964年、東名高速は1969年です。

 

*『官報』1192號(1930年12月17日)

 

**国立国会図書館デジタルコレクション

 

***『官報』第1303號(1931年5月7日)

 

****『官報』第1564號(1932年3月19日)

 

*****亀山市教育委員会「亀山市史 民俗編