私がはじめて海外旅行に行った国は、イギリスイギリスイギリス

 

 まだ、慢性金欠病に罹患する以前、つまり独身貴族だった頃、かつ当時は、比較的長期の休みがとりやすい職場であり、また円高が進行していた時期でもありました。

 

 添乗員さん付食事付のパッケージ・ツアーに申し込んで、成田から、ヒースロー空港へ飛び、空港からはバスに乗って、その日のうちに「ロンドン市内観光」。

 

 

 上画像は、ウェストミンスター宮殿(国会議事堂)で、右の時計塔が「ビッグベン」。

 

 

 続けて、たぶんロンドン観光の定番スポットなのだろうと思うのですが、ロンドン塔やセント・ポール大聖堂、テムズ川にかかるタワー・ブリッジ(上画像)。

 さらに翌日はオプショナル・ツアーに申し込んで、ウィンザー城にも行ったのですが、残念ながら、あまりよく覚えていません。

 

 それに対して、印象に残っているのが、連泊したグレート・ウェスタン・ロイヤルというホテル。

 玄関のすぐ上、二階の壁にはGWRとあり、またすぐ裏にはパディントン駅がありました。

 

 

 興味を感じて、同ホテルのパンフレットをもらうと、イザムバード・キングダム・ブルネル(Isambard Kingdom Brunel)によって、1854年に建てられたもの。当時は、Britain's largestだったようです。 

 

 ブルネルは、グレート・ウェスタン・レイルウェイ(GWR)の鉄道技師であり、パディントンは、同鉄道のステーション。

 つまり、同ホテルは、GWRのステーションホテルだったということになります。

 

 

 

 上図は、同ホテルのパンフレット掲載の地図。

 

 緑で塗られているのが、スピーカーズ・コーナーのあるハイドパークであり、左上にグレート・ウェスタン・ロイヤル・ホテル、そしてパディントン駅があります。

 

 パディントン駅は、イングランド西部、ウェールズへの玄関口。アーチ型の高いガラス屋根と長いプラットフォームが印象的でした。

 

 家に帰ってから調べてみると、岩倉使節団の『廻覧回覧実記』第二篇英吉利ノ部、1872年10月25日の条に、

 

 旅館ヲ出テ、北方「パッチントン」ノ汽車驛ヨリ別段仕立ノ車ニ乗リ

 

 とありますから、おそらくはこのパディントン駅を利用したのだろうと思います。

 岩本陽児「岩倉使節団の米欧博物館見学-イギリスを中心に-(下)」 *によれば、彼らが向かったのはGWRの沿線、バークシャー州の州都レディングです。

 

 また、ホテルのメインエントランスから階段を下ると、地下鉄駅だったのですが、これも家に帰ってから、角山栄「駅舎のかもす旅の香り-表情豊かな都市の玄関」**を見ると、

 

 世界で最初の地下鉄は1863年、ロンドンのパディントン~ファリンドン間の約5・5キロで開通した。

 

と書かれているのに気が付きました。

 

 さらに、グレート・ウェスタン・ロイヤル・ホテルは、何か事情があったのか、現在は「Hilton London Paddington」  

 

 それなら、パディントン駅や地下鉄、ホテルも、もっと写真を撮ってくるんだったと後悔しているのですが、後の祭り。

 

 結婚して家族を持ち、職場も変わり、それ以降、イギリスに行く機会はありません。

 

 

 

 *全日本博物館学会『博物館学雑誌』第24巻第2号(1999年)

 

 **『週刊朝日百科 世界の歴史 別冊 旅の世界史10 旅と乗り物史』(朝日新聞社、1992年)。