合格クラッカー   『ピタットハート恋の矢 へようこそ!

2010年 6月吉日


いきなり、その男の出鼻はくじかれた。


料理が出てきて、

「おいしそうだね。さ、食べよう!」

「あ、ごまかしてる。早く聞かせてくださ~い、私の長所」


「ん?(モグモグ) いや、死んだお爺さんの教えで、

『ものを食べてる時はしゃべるな』って、(モグモグ)

子供の頃よく注意されたから(モグモグ)食べ終わって

最後に(モグモグ)ちゃんと・・・」


「さっきからモグモグモグモグって、食べながら

しゃべってるでしょ!」


そして、あまりに子供みたいにせがむので、

次回持ち越しを諦め、自分が思ったMさんの

長所をふたつとも話してしまった。


まずひとつは、平凡な言葉だが「やさしさ」を感じた、

ということ。

初対面の日、自分でも笑ってしまうくらいひどい

お見合いであった。

「緊張してますね、今野さん」とその日、優しく笑っては

くれたものの、もう会えないのではないかと思っていた。

そして、今ここで一緒に食事していることが素直に嬉しい、

と胸の内を明かした。


もうひとつは、機転が効くところが素晴らしい!と。

電話はこれまで2回しかなかったが、しばしばメールを

送り合い、彼女のレスポンスの早さと、いつも正確に

ノリのいい内容を書いてくれていることが嬉しく、

またそれも輝かしい長所である、と伝えた


しかし、本来この話は次回へ持ち越す為に

無い知恵を懸命に絞ってきたのであった。

“明日なき戦い” を明日へ繋げるの為に練られた

その戦略は、いともあっけなく崩れ去ってしまった。


♪もし 俺がヒーローだったら

   悲しみを 近づけやしないのに


恋の苦手な男が考えたふたつの「戦略」という名の

“翼”のうち、1本は見事に折れてしまった。・・・


やっぱり、俺は “翔べないエンジェル”

なのか・・・


いや、もう1本の翼が残っているじゃないか。

最後まで、ちゃんと、戦え!


「あの、何か言いました?最後まで、どうのこうの?

・・・って」

「えっ?いえいえ、最後まで、ちゃんと、食べましょ!

コース料理なんだから、なんて、言ったかも・・・ 

はっ、はっ!はっ!和田アキコか、俺は」

でも、褒め言葉を聞いた彼女の顔は、まんざらでも

なさそうであった。


時折、彼女がこちらに向ける流し眼は、楽天・田中将大

の高速スライダーのような鋭いキレ味であった。

やっぱり向こうは赤コーナー。

ディフェンディング・チャンピオンの雰囲気とペースに

こちらは完全にのまれてしまっている!


このままじゃ、ますいぞ、挑戦者。


(どうする?)

TO BE CONTINUED

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