◆ソフトバンク0―4楽天(5日・福岡ヤフードーム) ハイタッチを終えたナインが口々に「ウイニングボールは?」とベンチ前で騒いだが、当の本人は落ち着いていた。「サンチェスがスタンドへ投げちゃったんですけど、(ファンが)返してくれましたね」。プロ初登板初先発で初勝利。記念のボールを手にし、塩見がそっとほほえんだ。

マウンドでも動じなかった。初回、味方のエラーが絡んでいきなり無死一、二塁のピンチを背負ったが、まず松田を内角球で遊飛にねじ伏せた。4番・カブレラは胸元への137キロ直球で空振り三振。小久保も三振に切った。「怖かったですけど、内角を思い切っていかないといけないと思いました」。2回以降も強気に内角を攻め、強力ソフトバンク打線に対し6回を散発の4安打無失点に抑え、連敗を3で止めた。

逃げたくなかった。宮城・気仙沼に住む八戸大の野球部の同級生が、被災。津波で家が流され就職の内定も取り消しになったという。「この前、一緒に会って食事したんですが、こちらが思っていた以上に、明るくてびっくりした。本当はつらいはずなのに…」。もらった勇気を投球で返したかった。

運命にも導かれた。昨年10月28日のドラフト会議。ヤクルトと競合したくじ引きで星野監督から引き当てられてから189日。見事、白星をプレゼントした。くしくも5月5日のこどもの日は、1969年に闘将がプロ初勝利を挙げて号泣したメモリアルデー。「すげえ。すげえよ。オレより上。一番いいのはどんな球種でも腕が振れること」と指揮官も絶賛した。

日本ハム・斎藤ら同世代にライバルも多いが「いい選手はいますので、その中で最終的に勝ち取りたいと思います」。クールな強心臓左腕が、堂々と新人王に名乗り。大口には聞こえなかった。

(スポーツ報知)


第二の故郷で勝てて良かったです。

こちらも新人王候補です