東印度カレー商会は駅を出てすぐのところにある。店頭には『自慢の本格カレースパイスで炊き込んだ元祖炊込カレーおにぎり』と書かれた看板の下に数種類のおにぎりが並んでいて、僕が行った際はおにぎりを買おうとするお客さんが2、3組熱心におにぎりを物色していた。

 

 東印度カレー商会という名前を最初に見た時、僕はパイレーツ・オブ・カリビアンに登場する東インド貿易会社みたいだなと思った。東インド貿易会社はジョニー・デップ演じるジャック・スパロウら海賊たちをカリブ海から一掃しようとするイギリスの企業で、海賊たちからは目の敵にされている存在だ。東インド貿易会社は実在したイギリス東インド会社というエリザベス1世が特許状を出して東インド地域一帯の貿易を独占していた企業がモデルになっている。当時スパイスは金や銀と交換されるほどの高級品で、イギリス、スペイン、ポルトガル、オランダの4ヵ国によるスパイス戦争が繰り広げられていた。大航海時代はスパイスを求める国々によって発展していったのである。今ではコンビニや100円ショップでも買えるスパイスを戦争までして奪い合っていたという事実は恐ろしくも不思議にも思える。

 

 イギリスにカレーが伝わったきっかけはイギリス東インド会社だと言われている。日本にカレーが伝わったのはイギリスからなので、もしイギリス東インド会社が存在していなければ日本にカレーが伝わることはなかったかも知れない。インドからイギリスを経由して日本に伝わったカレーが、後に不動前で元祖炊込カレーおにぎりとして売られるなんて大航海時代の海賊や商人たちは思いもしなかったことだろう。

 

 東印度カレー商会は2店舗目を築地場外に出店した。

 

 僕は、恐らく次は船を買うんじゃないかと踏んでいる。