子育ては人生の一大事業です。
それは親として人として、とても素晴らしい時間になるでしょう。
それと同時に、子育てにも常にお金の問題が付きまといます。
家が1つ建つほどの大きなお金がかかるのですから、決して甘く見てはいけません。
そんな子育てですが、お金の面では計画的にお金を用意できます。
子供の成長は決まっているので、支出の時期がはっきりしています。
それを逆算すれば計画的に貯めることが可能です。
例えば幼稚園、保育園への入園。小学校、中学校、高校への入学。
人によっては大学、さらに大学院へと進学するでしょう。
子供の進学の節目には多額のお金が必要となりますが、時期がわかっていれば準備すること自体、大きな問題とはなりません。
この時に意識すべきことは、教育費は現金で用意することです。
問題は、それができなくなる家庭が増えつつあるということです。
●お金の問題は苦手でも向き合わなければいけない
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計画的にお金を用意する。
簡単そうに見えますが、これは意外と難しいことです。
お金の使い方にはその人の個性が強く現れます。
お金を貯める習慣がある人は、逆算して毎月いくら貯めればいいと数値を出して、その通りに貯め続けることができます。さほど難しいこととは感じません。
逆にお金を貯める習慣がない人、お金を貯めることができない人にとって、お金を貯めることはとても大変な苦行となります。それはお金にだらしないのではなく、お金を貯める習慣がなくても人生で大きな問題が起きなかったからです。
人によって学校の勉強が得意だった、苦手だった、サッカーが得意だった、苦手だったという個人差があるように、お金を貯めることにも得意、苦手はあります。
サッカーの場合なら苦手ならやらなければいいという逃げ道があります。現実に、サッカーができないから人生で不都合が起きることはまずありません。学校の勉強も同様で、社会人になって要求されることは読み書きと四則計算程度ですから、学生時代さえ凌げれば何とかなるのです。
お金の場合は、それが苦手でもやらなければいけない点に大きな問題があります。逃げることができずに、一生その問題と付き合わなければいけません。
そしてお金を貯めることが苦手な人は、どうしてもお金を貯めることができない場合があります。そのような状態の人がやりがちなことが借金に頼ることです。
●教育費を借金で賄うことは未来の自分を苦しめる
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借金で教育費を用意することはやってはいけないことの一つです。一時的に金銭的な負担を緩和することができますが、それは一時しのぎに過ぎず、未来の自分がそのつけを借金返済という形で支払うことになります。
負担の先送りは、未来の自分を苦しめるだけで、本質的な解決につながることは決してありません。サラリーマンの安定昇給もすでになくなりつつある時代において、「将来は給料が上がるから借金する」という無謀な選択肢は、将来の自分を苦しめるだけです。
奨学金も同様です。奨学金とは耳障りの良い言葉の言い換えに過ぎません。本質は借金そのものです。借りている以上は返さなければいけないお金です。
奨学金を選択することは、子供が学校を卒業して社会で働き始める瞬間から借金を背負わせることになります。毎月5万の奨学金という名の借金を4年間受け取り続けると240万円に膨れ上がります。
社会に出た瞬間から240万円の借金は莫大な金額です。
利息なしで毎月3万円実返済したとしても80か月、実に6年と8か月かかります。
借金を抱えている状態では結婚するときの足かせにもなるでしょうから、大学に行く代償として割に合うか否かはよく考えなければいけません。
昔は子供をいい大学に入ればいい会社に就職でき、良い給料を受け取れる可能性が大きく、それは両親にも経済的な見返りが期待できました。
今はその因果関係があると言い切ることはできません。奨学金の返済を背負わされた子供は自分の生活だけで精一杯になる可能性が高いのです。奨学金による自己破産も決して珍しい話ではなくなりました。
子供の人生を考えるならば、親は奨学金を借りるべきではありません。
努力した結果、どうしても奨学金を使わなければいけない事態になる事もあるでしょう。
その場合は子供にお金の問題をきちんと説明して、例えば大学生ならば在学中にアルバイトなどでお金を稼いで、親と子供で力を合わせて、卒業までに奨学金を返済できるように計画・実行する必要があります。
子供に向けてする話としては厳しいと思いますが、子供の立場からすれば、何の相談もされずに大学4年間を過ごし、社会人になる直前に奨学金という多額の借金を気づかされるよりは十分に望みのある選択肢です。
●子供そしてあなたのために
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教育費は、子供のことだけを考えるのではなく、自分自身のその後の人生を視野に入れてお金のことを考える必要があります。
子育て費用は莫大なので「何とかなる」の範疇を超えていると考えるべきです。
昔は給料がどんどん上がっていたので何とかなっていたに過ぎません。
これから子育てをする人は、家族計画を含めて計画性をもってお金を貯めなければいけません。それは子供のためではなく、あなた自身の将来にも大きな影響を与えます。
子供は最大の宝と言います。それは子育て費用という現実問題を解決することができた人だから言えるのです。
子供を育て上げるために家計は火の車になり、子供は多額の奨学金を抱えて卒業せざるを得なくなれば、その先は親子共々お金で苦労する人生が待っているのです。そしてそのような人生にならざるを得ない人が増えている現実が、奨学金破産という形で表れています。
子育ては、未来の世代を育てることと同時に、自分の老後を守ることも並行して考えなければいけません。それが子育てをする世代の責任なのです。