A Love Supreme(至上の愛)

 

さて、今日ご紹介するアルバムはジョンコルトレーンによるアルバム

「A Love Supreme

(至上の愛)」です!

 

このアルバムはジョンコルトレーンが

1965年(38歳)の時にに

録音されたものです。

コルトレーンは40歳で亡くなってしまうので、

亡くなる2年前になりますね。

 

1. アルバムの背景と制作過程

 
1964年にリリースされた「A Love Supreme(至上の愛)」は、
ジョン・コルトレーンの人生の転機となった作品です。
ヘビーな人生を送ってきた彼が、宗教的な気づきを得て、
音楽を通して神への愛を表現することを決めた作品です。
レコーディングは同年12月9日のニューヨークのスタジオで行われ、
○コルトレーン(Sax)○
 
○マッコイ・タイナー(Piano)○
 
○エルヴィン・ジョーンズ(Drum)○
 
○ジミー・ガリソン(Bass)○
 
が集まりました。
 

2. 音楽的な特徴と革新性

 
「A Love Supreme」では
モーダル奏法↓
(=モーダル奏法とは、従来のメジャー・マイナーなどの
音階ではなく、旋法(モード)を基にした作曲・演奏の手法)
を使ってインプロヴィゼーション(=即興演奏)を展開します。
 
旋律が何層にも重なったり、変わった音階を使ったりと、
アフリカ音楽の影響が感じられます。
 
宗教的な空気も漂っていて、
作品全体に敬虔な雰囲気があふれてます。
 
当時のジャズ界に革命をもたらした衝撃作で、
後のアヴァンギャルド・ジャズ
(=1950年代後半から1960年代にかけて現れた、ジャズの前衛的な流れ)
にもパワーを与えたんです。
 

3. アルバムの構成と楽曲解説  

 
「A Love Supreme」は4つのパートから成り立ってます。
 
「Acknowledgement(承認)」では賛美の言葉が歌われる。

 

<Acknowledgement(承認)Part 1>

 

3:50~ 掠れて唸るようなサックスの音が熱情を感じさせます

6:00~ 「A love Supreme」と何度も繰り返し唱える部分には宗教的な雰囲気を強く感じますね。最後はジミーガリソンのベースで締めくくられます!
 
 
 
続く、「Resolution(決意)」では混乱から解放される様子が表現されてます。

 

<Resolution(決意)Part 2>

 

 

0:20~ ジミーガリソンのベースに続いて入るコルトレーンのフレージングが異国の雰囲気を醸し出します。どこか癖になる旋律が聴く者を惹きつけます!

 

1:50~ マッコイタイナーのピアノソロ、始まりの二音の跳躍からなる印象的なフレーズに続く音使いもまた、異国的に感じられます。左手で奏でるハーモニーも鋭く楽曲のエッジを醸し出していますね!

 

3:50~ コルトレーンソロ、断片的なフレーズをつなぎ合わせているような印象的なインプロヴィゼーション。音使いも旋法(=モード)によるフレーズが聴かれます。

 

 

続いて、「Pursuance」と「Psalm」は、コルトレーンの情熱的な演奏が聴けます!

 

<「Pursuance(探求)」Part 3>

 

0:00~ エルヴィンジョーンズによるドラム独奏、どこなく神秘的なフレージング。決して野蛮になることのなく、勢いの中にどこか達観した冷静さが感じられます。張り詰めたような演奏の先に何を見ているのでしょうか?

 

1:30~ コルトレーンの旋律が入ってきます。上行系のフレーズを何度も用いながら聞く者に印象づける旋律線を演奏します。その後マッコイタイナーのピアノソロが引き継ぎます。クラスターとも感じられるような和音的なフレージングが耳に残ります。

 

4:20~ コルトレーンが引き継ぎます。唸るような音色とエルヴィンジョーンズの煽るようなドラムの音が楽曲全体を先へ先へと盛り上げていきます。この辺から、息を切らしながら走り続けるような演奏から耳を離すことが出来なくなってきます。

 

6:30~ この辺りの音使いは無調に近く感じます。そして、唸り、叫ぶような音色をぜひ聴いてみてください!

 

7:15~ エルヴィンジョーンズによるドラムソロ。細かなリズムを中心としたソロを展開していきます。ジミーガリソンのベースがそこに絡むように入り、ベースにソロを引き継ぎます。静けさにも似たベースのフレーズに耳を傾けてみてください。

 

8:50~ ここからベースによって装飾音を伴う、印象的なフレーズが繰り返されます。一定のフレーズの繰り返しがどこか宗教的な雰囲気を醸し出しながら、音楽は終盤へと向かっていきます。次第に歩みが遅くなり、音楽自体が息を引き取っていくような雰囲気は一聴の価値ありです。

 

<「Psalm(賛美)」Part 4>

 

0:00~ マッコイタイナーの東洋的な雰囲気を思わせる和音の響き、エルヴィンジョーンズによるドラムのクレッシェンド。朗々と歌うかのような音数の少ないジョンコルトレーンの旋律。鐘の音を表すようなマッコイのピアノの音がソロを引き立てます!聴いた瞬間から陶酔するような楽曲の世界観に引き込まれていきます。

 
2:53~ この辺りから演奏されるコルトレーンの高音域の音は聴く者の胸にすっと染み入るような切なさ、苦しさの様なものが自分には感じられました。でもどこか安息の地にたどり着いたような、静かにたたずんで倒れていくような空気感。
 
4:50~ マッコイタイナーのピアノの和音はまるでガムラン音楽やドビュッシーの「沈める寺」を思わせるような空虚な響きが鳴り続け、コルトレーンの最後の旅路を彩るようにも聴こえます。神秘的な空間ですね。
 
6:30~ 終わりに向けた最後の響き。 
 

 

<全体を通して>

 

まるでPart1からPart4にかけての長い旅をコルトレーンとともに歩き、
最後には目的の地にたどり着き、自分もまた静かに消えていく。
そんな世界観を感じました。
(解釈はひとそれぞれかと思いますが、、、)

 

 

4. アルバムの意義と影響

 
「A Love Supreme」は、
ジャズ史に燦然と輝く金字塔的なアルバムです。
音楽性と精神性が見事に溶け合い、
モダンジャズからフリージャズへの橋渡しをしました。
コルトレーンの偉大な遺産として、
後生の演奏者達への影響は大きなものでした。
 
 

5. ぜひぜひ皆さんも聴いてみてください!!  

 
コルトレーンの宗教体験を音に乗せた音楽に、
心の奥底を揺らされるような音楽に引き込まれてしまいました。
穏やかな旋律から熱狂的な演奏へ。
ジャズの可能性を大きく切り開いた金字塔中の金字塔。
 
ぜひ、一度聴いてみてくださいね。
 
ではでは、またまた!!アデュー!