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時は戦国時代の終盤に差し掛かった天正10年(1582年)。
 
あの「本能寺の変」によって、織田信長がこの世を去り、その長男の信忠も討ち死にし、にわかに織田家の後継争いが始まる。
 
 
織田家の筆頭家老・柴田勝家(役所広司)と明智討伐の功労者・羽柴秀吉(大泉洋)が後見に名乗りを上げた。
 
勝家は三男でしっかり者の信孝(坂東巳之助)を、秀吉は次男の「大うつけ」の信雄(妻夫木聡)を、信長亡き後の後継者として指名。
 
また、勝家は盟友の丹羽長秀(小日向文世)の策により、信長の妹・お市(鈴木京香)を味方にする。
 
一方、秀吉は軍師・黒田官兵衛(寺島進)と策を巡らし、信長の弟・三十郎信包(伊勢谷友介)を味方にする。
 
 
そして両者は、打算的でまだ態度を決めかねてる池田恒興(佐藤浩市)を味方にすべく、「多数派工作」を図っていく。。。
 
しかし、肝心の次男・信雄のあまりの「大うつけ」振りを目の当たりにした秀吉は、起死回生の一手、まだ3歳の幼子である信忠の子「三法師」を後継者指名へ変更する。
 
 
そんな中、いよいよ跡継ぎを決める「清須会議」が開催され、両派の思惑は一層複雑に交錯していく。
 
 
果たして、勝利を得るのは勝家か、秀吉か・・・
 
そして、清須会議の行く末は・・・
 
 
 
あの三谷幸喜監督が、自ら書き下ろした小説を映画化した、初の時代劇。
 
で、またまた豪華キャストを迎えて贈る「群像時代劇」ですね。
 
 
中学か高校の歴史の授業で、「本能寺の変」があり、その後の「賊ヶ岳の戦い」を経て、秀吉が天下を取っていくことは習いました。
 
でも、その間に「清須会議」というものが行われ、こんな極めて「政治的」な会議が行われてたなんて、知りませんでしたねぇ。
 
 
愚直で不器用だけれど、亡き信長や織田家に対する忠誠心では誰にも負けない勝家。
 
しかし結果は、狡猾で頭のいい秀吉に会議の主導権を握られ、後継者指名争いで敗れるだけでなく、その後の
天下統一の足掛かりとなる「賊ヶ岳の戦い」で敗れ、お市の方と共に自害することとなるんですね。
 
 
三谷さんは、この作品を「コメディ」ではなく「喜劇」だと称する。
 
「コメディ」は、ストーリーだけでなく、台詞一つ一つが、「笑わせる」ために存在すると。
 
しかし、笑いには包まれてるが、人間の「哀しさ」や「切なさ」が残ってるのが「喜劇」だと言う。
 
 
この作品は確かに、今までの三谷作品のように大笑いはできませんでした。
 
それは「敗者」勝家に、ちょっぴり「切なさ」が感じられるからなんでしょうねぇ。 ★★★
 
 
ちなみに、作中、「清須会議」のキーパーソンである小日向さん演じた「丹羽長秀」
 
彼は身分は下だが、急激に勢力を拡大する秀吉より、共に旧織田家重臣である勝家と近いと思われましたが。
 
この「清須会議」では秀吉の意見に賛同するも、その後は織田家をないがしろにし、天下取りを目指す秀吉をよしとは思わず。
 
最後は胃癌のため亡くなったそうですが、実は割腹自殺したのでは、とも言われています。
 
 
この長秀の心中を描いた小説に、松本清張さんの「腹中の敵」という短編があります。
 
長年複雑な思いを抱いてた長秀は、「敵は外にいるのではなく、弱い自分の中にいる」と、最後は死の床で切腹し、その「腹中の敵」(癌)を切り裂いたという。
 
面白いので、未読の方は是非、どーぞ。