小さな建築会社の土木作業員として働く清水祐一（妻夫木聡）。
彼は長崎の外れの寂れた漁村で生まれ育ち、健気に祖父母の面倒をみながら３人で暮らしていた。
大人しく、無口な彼は恋人も友達もおらず、ケータイの出会い系サイトで出会いを求めていた。
そして、福岡の保険会社のＯＬ石橋佳乃（満島ひかり）と出会い、何度か身体を交わす。
しかし、佳乃は胸の内では雄一のことを見下しており、本命のオトコとして老舗旅館の息子の福岡の大学生の増尾圭吾（岡田将生）を密かに狙ってた。
一方、佐賀の郊外の紳士服販売店に勤める馬込光代（深津絵里）。
平凡で地味な彼女は、妹と二人でアパートに暮らし、家と職場の往復だけの退屈な毎日を送っていた。
やがて雄一と光代は出会い系サイトで出会うのだが、祐一には光代に隠していた秘密があった。。。
光代と出会う前のある夜、祐一は佳乃と会う約束をし、待ち合わせ場所に出向いたにも関わらず、佳乃は彼をすっぽかし、偶然会った圭吾のクルマに乗ってドライブへ行く。
それを見た雄一はふつふつと怒りが湧き、彼らの後をクルマで追い始める。
しかし、福岡と佐賀の県境の三瀬峠の真っ暗な中、口論となった圭吾は佳乃をクルマから無理やり降ろして走り去ってしまう。。。
一部始終を見ていた雄一は、路上で泣き崩れている佳乃に手を差し伸べるが・・・
逆上した佳乃は、怒りの矛先を雄一に向け、彼を罵り始める。
そして口論の末、ついカッとした雄一は佳乃を絞殺してしまう。。。
そんな雄一の過去を知った光代は、２人で逃避行を始めるのだった。。。
果たして、２人を待ち受ける結末は・・・
そして、本当の「悪人」は誰なのか・・・
吉田修一のベストセラー小説を、あの「フラガール」の李相日監督が映画化。
孤独を抱えた二人が偶然出会い、一気に愛を燃え上がらせるが、その後破滅的に坂を転げ落ちていきます。
テーマの「悪人」とはいったい誰なのか？
作品では多くの「悪人」が登場しますが。
佳乃を殺してしまった雄一か、雄一を侮蔑していた佳乃か、その佳乃を侮蔑し山中に置き去りにした圭吾か。
その他、雄一の祖母房枝（樹木希林）に恐喝まがいで高額な健康食品を販売したオトコ。
殺人犯の家族として、年老いた房枝を追い掛け回すマスコミ・・・
非常に暗く、哀しい作品です。
救いは、警察の手が迫り、最後に光代に対して取った雄一の行動か。
雄一も、佳乃ではなく先に光代に出会っていれば、その後の人生はまったく変わっていたでしょう。
「いつ」、「誰と」、出会うかってのは本当に人生を左右させる、そんなことを改めて考えさせる作品でした。★★★