妻を交通事故で亡くした「鈴木」。
 
しかしそれは事故ではなく、覚せい剤や怪しげなげな薬を売ったり、暴力・脅迫行為を行うとんでもない会社の一人息子、寺原によって轢き殺されたのだった。
 
妻の復讐のためにその会社に入社した鈴木だったが、ある日、その寺原が目の前でクルマに轢き殺されてしまう。。。
 
「押し屋」が押したのよ、追ってと、会社の女性上司から命令され、その「押し屋」の後を追う鈴木・・・
 
 
場所は変わって、ある政治家秘書を自殺させる依頼を受けた「自殺屋」の通称「鯨」。
 
鯨のように大柄な彼は、依頼を受けて人を自殺させる仕事をしている殺し屋。
 
過去、多くの人間を自殺に追いやった彼だが、最近は自殺させた者たちの幻覚を見るなど精神不安定の状態。
 
やがて、彼は自分と、自分の仕事「自殺屋」と決別するためには、かつて「殺し」の仕事を奪われた「押し屋」と対決するしかないと思いつめる。。。
 
 
また場所は変わって、「蝉」と呼ばれる若者は、岩西という男の下で殺しを請け負っている「殺し屋」。
 
ナイフを使い、今日も家族3人を惨殺して事務所に戻った「蝉」だが、自分が岩西に支配されているのではと強く思うようになってきた。。。
 
この「殺し屋」の業界で名をあげて、岩西をあっと言わすためにあの寺西を殺した謎の「押し屋」を、彼もまた探し始める・・・
 
 
この話は3人の登場人物、「鈴木」・「鯨」・「蝉」が交互に出てきて、それぞれの物語が進行、それぞれが「押し屋」を探し、「押し屋」を巡って3人が出会い、絡み合って来ます。。
 
伊坂さんお得意の展開ですよね。。
 

「殺し屋」である、「鯨」・「蝉」そして「押し屋」、それぞれ個性が強いんですね。。
 
岩西って男も相当個性が強いです。。
 
彼らは「セリフ」の端々で、その強力な個性を発揮させます。
 
「人は誰でも死にたがっている」
「死んでるみたいに、生きたくない」
 
魅力的な「セリフ」、これも伊坂さんの得意技ですよね。