作者の沢木耕太郎さんが、実際に行かれた旅を綴った「旅行記」です。
 
大学卒業後、一旦就職するも退職し、26歳の時に香港・マカオ・東南アジアから、インド~ロンドンまでの陸路による旅を綴っています。
 
1947年生まれの沢木さんは、70年代前半の26歳の時、仲間と話す内に「果たして、インドのデリーからイギリスのロンドンまで乗合バスだけを乗り継いで辿りつけるのか?」ということから、旅行を開始。
 
まず手始めに香港に向かうのですが、ここで香港の人々の持つ熱気とパワーに感化され、数日間も滞在するんですよね。
 
続いて向かったマカオでは、カジノの魅力に取りつかれ、あわや無一文に・・・
 
その後タイ・マレーシア・シンガポールと南下してやっと、本来のスタート地点だったインドへ。
 
 
このインド、そしてネパールの気だるく、熱病に冒されたように数週間も滞在してしまいます。。
 
物価が驚くほど安かったここインドやネパールで、1ヶ月・1年・・・とそのままずっと居座ってしまい、挙句の果てに帰る旅費すら使いきってしまう、バック・パッカーが多いとのこと。
 
 
その後、パキスタン・アフガニスタンを経て、やっとアジアとヨーロッパの中間地、トルコに到着。
 
ここでもう、日本を発ってから半年以上は経ってます。。
 
 
ポスポラス海峡を渡ってヨーロッパ圏へ、そしてギリシャへ。
 
ギリシャからアドリア海を渡って、イタリアへ。
 
 
イタリア、モナコ、フランス、そしてスペインへと地中海沿いの道を進む。
 
春先に日本を出発し、今までの暑くて、発展途上のアジアの街でなく、ここは都会の冬に向かうヨーロッパ。
 
作者は、人生には四季がある、子供の時の春、青春時代の夏、中年世代の秋、そして老後の冬と。
 
同じように旅にも四季があり、今このヨーロッパの旅は秋から冬へと向かってると。。
 
これはゴールのロンドンがもうすぐ近づいてきた、寂しさからくるものなんでしょうね。。
 
 
そしてユーラシア大陸の最西端であるポルトガルのサン・ビセンテ岬、ここからゴールであるロンドンへ。。。
 
1年2カ月にも及んだ旅のゴールとなるか・・・
 
 
なんでも刊行された80年代後半には、この作品はバックパッカーの間では「バイブル」のような扱いだったという。。
 
でも最後のロンドンでの展開は意外でしたね。。
 
人生も旅も、「終りはない」ってことでしょうか。
 
 
文庫本で全6巻、面白い旅行記でした。。