「妾(あたし)は人を殺したことがあるんでございますよ」

鎌倉へ釣りに来ていた伊佐間一成は、逗子海岸で朱美と名乗る女性と出会う。

関口たちの古くからの友人である伊佐間は、折からの冷え込みで体調を崩しており、朱美にいざなわれるまま彼女の家へとあがりこむ。
食事を与えられ、酒に酔うまま、朱美から過去に同じ店で奉公していた女性を殺してしまったことを告白される。

一方、関口巽はある日、前回の事件の渦中で死亡した久保竣公の葬式の席で大物小説家、宇多川崇からとある相談を受ける。
それは、記憶喪失の妻の、海鳴りを聞くことによって甦ってくる記憶と殺した夫への恐怖に関するものだった。
その妻、宇多川朱美は自分が記憶を失う以前に、前の夫を、首を切って殺してしまったのではないかという疑団にさいなまれていたのだった。

同じ頃、逗子にあるキリスト教会の居候、降旗弘と牧師の白丘亮一は、ある日訪れた宇多川朱美という女性から懺悔を聞く。
彼女は、以前首を切って殺した夫が首をつなげて甦り、自分に会いにくるという。そしてその度に、絞め殺し、首を切っていると言うのである。

そして、逗子湾に金色の髑髏が浮かぶという「金色髑髏事件」や同じく生首が浮かんでいたという「逗子湾生首事件」、双子山中の不可解な集団自殺「双子山中自殺事件」と重なり、事件全体がとらえどころのない奇妙な様相を見せていく・・・。

複雑を極める事件に対して誰もが混迷の度を深めていく・・・

果たして京極堂の考えは・・・
そして、事件は解決するのか・・・


本作でも、民俗学的な逸話や宗教の教えが多く登場する。

しかし、今回は元精神科医・降旗の語る自身の幼少の頃の奇怪な夢と、フロイト、ユングを中心とする心理学についての記述が凄い。
これがしつこい程、繰り返し述べられる。
その後の憑き物落としでの京極堂の意見も合わせると、髑髏を巡る争いの真相との2本立ての謎解きになっている。

そして、物語の最大の謎の髑髏を巡る争奪戦。
読んでいて「そんな馬鹿な・・・」

と思えるほど、馬鹿馬鹿しい。

しかし当人たち、神代の時代からの心願を達成させんとす神官たち、南朝の末裔による皇位奪回、父への献身的な看病・・・にとっては「命」より大切だったことなんでしょうね。


しかし、自分で書いてても、上手く説明できない。。。

実際、読んでみるのが一番いいと思います。