1970年3月より72年10月まで「週刊新潮」で連載され、文庫本で3冊となる、山崎豊子さんの長編小説です。

時代的には、ちょうど私が生まれた頃に書かれた作品だったんですね。

先祖代々、播州・姫路の大地主だった万俵家。
先代の万表敬介は、土地の買収・売却を通じて得た巨額の資金を元手に、銀行業・鉄工業・海運業・不動産業と手を広げ、戦後には神戸・阪神間の一地方財閥にまで築き上げた。

現在、その万表コンツェルンの総帥にして阪神銀行頭取の万俵大介。
彼は敬介の興した一地方銀行だった阪神銀行を全国10位の都市銀行にまで引き上げ、また鉄工業を阪神特殊鋼として、全国1位の特殊鋼メーカーにまで成長させた。

名門の誉れ高い一族の長、優れた経済人としての表の顔を持つ万表大介。
だが、私生活では妻と愛人と一緒に暮らすという「妻妾同居」という異常な生活を送る裏の顔を持っていた。

そして、目的の為には我が子を、まるで戦国時代の政略結婚のように持ち駒として、政財界の人脈作りのために結婚をさせていたのだ。

彼の野望は金融再編が進む銀行界の中で、全国10位の阪神銀行を、より上位の都市銀行と「小が大を食う」合併をし、全国トップレベルの都市銀行にさせることであった。

そんな彼は、ある時からどす黒い疑惑を胸にきざす。

長男であり、阪神特殊鋼の専務を務める鉄平に対して、あろうことか、自分の子ではなく、父敬介が自分の妻との間につくった子ではないか、と疑うのであった。

鉄平への憎しみと、自らの飽くなき野望の為、大介は巧妙な陰謀をはりめぐらせる。

果たして、万表大介は金融再編が進む中、阪神銀行を生き残せるのか・・・
また、父の憎しみと野望を知らない鉄平と阪神特殊鋼の運命は・・・


1年ほど前、ドラマで放送されてましたね。

私はドラマは観てませんでしたが、HPのキャストを見て、なるほどと思いました。

万表財閥の総帥であり、万表家の冷徹な父親役の大介には北大路 欣也さん。
熱血漢のその長男役の鉄平に木村 拓哉。
万表家の執事であり、大介の愛人でもある相子には鈴木 京香さん。

ドラマでは鉄平が主役の設定だったみたいですが、原作では父の大介が主人公でした。

この一族の総帥である大介を軸に、神戸の六甲山の麓の広大な屋敷と、阪神銀行・阪神特殊鋼を舞台に物語は繰り広げられる。
彼に翻弄される一族の姿と金融業界の内幕について神戸を舞台に描き、当時は話題となったそうです。

実在する財閥・銀行・企業がモデルとなったといわれてますが、作者の山崎さんは否定してるそうですね。

だって、「華麗なる一族」なんてタイトルですが、まったく華麗じゃないですからね。

主人公はなんと、自宅に愛人をかこってるは、時には嫌がる妻と無理やり「3○」させるわ・・・

そして、自らの野望のために、息子の会社を倒産に追い込むは、それが原因で鉄平は・・・


しかし、過去には映画にもなり、以前にもドラマ化されてたそうで。

確かに、小説としては面白い作品でした。