イメージ 1

さて、本日2本目の映画レビューはA・ミンゲラ監督の「こわれゆく世界の中で」

舞台はロンドンのキングス・クロス地区。
不良少年がたむろし、夜にはコールガールが街頭に立つ、ロンドンでも治安の悪い地区。

しかし、ここにも再開発の波が打ち寄せ、この再開発プロジェクトを担当することとなった建築家ウィル(ジュード・ロウ)。
彼はわざわざこの地区に事務所を移し、張り切って仕事に取り組む。

ところが移転後まもなく、続けざまに2度も泥棒に入られてしまう。

プライベートでも、同棲しているリヴ(ロビン・ライト・ペン)との関係がうまくいっていない。
心も生活もすれ違いを見せる二人。
そして、リヴには自閉症気味の娘ビーがいて、彼女との関係も彼を悩ます一因となっていた。

ある夜、泥棒を捕まえるべくオフィスを見張っていたウィル。
そこに侵入を企てる少年を発見。

しかし、ウィルは彼をすぐに警察に突き出さず、彼をしばらく探るようになる。
やがて、その少年の母アミラ(ジュリエット・ビノシュ)と偶然を装い近づいていく。

彼女は戦火の中を息子と2人で逃げてきたボスニア移民だった。
不憫に思ったのか、あろうことか次第にアミラに惹かれていくウィル。


さて、ウィルと泥棒の少年とその母親アミラとの3人の関係は・・・

そして、浮気を知ったリブとの行方は・・・



A・ミンゲラらしい美しい風景と、人間の複雑で弱い一面を描いた作品。
主演のJ・ロウも「リプリー」「コールド・マウンテン」と続いて、彼の作品では常連ですね。

否、人間の複雑で弱い一面と書きましたが、「男」の複雑で弱い一面と、「女」の複雑で強い一面を描いた作品に訂正します。。。

「男」のウィルは、大きな仕事もこなす腕のいい建築家。
だが、同棲するリブとの関係は壊したくない。

しかし、ふとしたことから出会い、急激に燃え上がったアミラへの思いも消せない。

簡単に言えばこの作品、一見、二枚目で心優しいが、実は気が多い浮気症の男の話やったと思います。

一緒に観た彼女も、ウィルの行動にひたすら怒ってました(笑)

しかし、戦火のボスニアから生き延び、手段を選ばずどこまでも不良息子を守ろうとした「強い」アミラ。

一方、母子で難しい年頃の娘と毎日を辛抱強く生きるリブ、最後のウィルに対する決断も彼女の「強さ」を感じましたね。

今回のこの一連の出来事を経て、恐れることなく不良少年を庇ったウィルが、そしてリブとアミラ、また娘ビーと不良少年のそれぞれが、それこそ再開発の街とシンクロして「再生」されていったと思いました。


3人の演技も良かったし、移ろいゆく心の機微をうまく描いた監督・脚本のミンゲラもよかった。
大人の作品でしたね。★★★★


ただ、うちの彼女は、許したリブに対しても、「なんで許すねん!」と怒ってました。
ここにも「強い」女性がいましたわ。。。