東野圭吾氏の「白夜行」を読破しました。

大阪の下町に生まれ育った、桐原亮司と唐沢雪穂。

自分が好意を寄せる少女にあろうことか売春行為を繰り返してた父を、また自分をその男に売ろうとした母を互いに殺してしまった二人。


人を利用し、裏切りながら、殺人を繰り返し、その秘密・その罪を20数年間も共有してきた彼ら。

本当なら、とても哀しく、暗い作品になるところ。

しかし、この作品、二人の心情が語られることはなく、事実の経過と結果が書かれてるのみです。


二人は確かに不幸でした。

二人がやってきた行為は生き抜く為の術だったかもしれないけど、両親や社会に対する復讐でもありました。

しかし、復讐からは結局、不幸しか生まれなかった。


文庫本で854ページという長編小説。

だが上記のように二人の心情描写がほとんどなく、また難解な表現がなく平易な文章が、暗い・重くなりがちな作品を読み易くしてると思います。


彼ら二人の生まれ育った、大阪は東大阪の布施。

私が育った町の近くであり、私も懐かしく思いながら、町並みや人々の息遣いを感じつつ読み進めました。