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「ギルバート・グレイプ」    ジョニー・デップ主演の作品。観たのは3年か4年ぐらい前かな。

あのラッセ・ハルストレム監督作品で、この映画もそうやし「サイダーハウス・ルール」や「シッピング・ニュース」なんかと同じく、いろいろな問題を抱えた主人公が悩みながら、壁にぶつかりながらも、新しい人生を歩んでいく姿を、淡々と静かに描く作品。

話はアメリカのアイオワ州のとある小さな田舎町。
ジョニー・デップ演じるギルバート・グレイプは大型スーパーの向かいの小さな個人食料品店で働く24歳。
夫の自殺が元で過食症になり、終いにベッドから起き上がるのも困難なほど激太りし、町の笑い者の母親。

そして知的障害のハンディを持つイタズラ好きの18歳の弟アーニーをレオナルド・ディカプリオ。

ギルパートは自分の感情を押し殺すようにして母親と弟の面倒を看ながら毎日を過ごす。
彼は生まれてから一度も家を出たこともなく、ずっと家族を守っていた。

しかし、死んだ父親が建てた家と同じく、いやそれ以上にホントに補修が必要だったのは彼の心。


そんな彼の淡々とした毎日にも、小さな田舎町にも変化が訪れる。

何も無かった小さな町に大手ハンバーガーチェーンが開店。
決して行くまいと思ってた大型スーパーへ、弟の誕生日にケーキを買うために初めて足を運び、そこで溢れるばかりの商品に触れる。

そして、キャンピングカーで旅をしながら、自由な生活を送る母娘の二人に出会う。

ベッキーという彼女の自由な生き方に憧れを抱きながらも、家族を置いての生活はできない彼。
その苛立ちがついに爆発。どんなイタズラをしても決して手を上げず優しく接していた弟に暴力を振るってしまう。

自己嫌悪に陥った彼が向かったのは、彼女のいるトレーラーハウス。
そこで彼女の腕に抱かれながら深い眠りにつく彼。

翌日、彼女たちは次の町へと旅立って行く・・・。


医者からは長生きできないと宣告されていたアーニーが無事18歳の誕生日を迎える。

元気なアーニーの姿を見て安心してか、静かに息を引き取った母。

その母を町の笑い者にはさせまいと、自宅に火をつけて母を葬る彼。


一年後、再び町を訪れたベッキーと弟のアーニーを連れて、ついに町を出ることを決意する彼。
アーニーがギルバートに「どこ行くの?」との問いかけに
「どこへでも」と答える彼。

そして3人は新たな世界へ旅立って行く・・・。



ほんとにしみじみする作品です。強烈ていうのじゃなく、淡々と、しみじみと心の琴線に触れる作品です。
誰しも大なり小なり悩みを抱えてる。それでも他人には涙も見せずに毎日の生活を送ってる。

ギルバートも様々な悩み・プレッシャーに押しつぶされそうになりながらもそれに耐え、最後、自宅に火を点けることで、自分を開放させる。

決して感情を表に出さずに家族のために自分を犠牲にする主人公、一方でお店のお得意さんである人妻と浮気もしちゃうギルバートを、抑えた演技をみせたジョニー・デップもよかった。★★★★


さらに、それ以上の演技をみせたのが、アーニー役のディカプリオ。
ほんまに自然と、上手い演技をみせています。この演技はほんまにスゴイ、大驚嘆。

タイタニック以後、ディカプリも激太りしたり、かなり派手な生活送ってたみたいやし、出演作も今いちどころか今2・今3ぐらいやったけど。でもまた、「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」や「アビエイター」でホント復活って感じ。


監督のラッセ・ハルストレムもいいですね。また今度好きな作品の「サイダーハウス・ルール」も書きたいな。