「バッファロー'66」  この映画ヴィンセント・ギャロっていう人の作品で主演・監督・脚本・音楽まで手がけてる。

まぁ多才な人やね。
映画以外でもモデル・ミュージシャン・画家・レーサー・プロボウラー?とやりたい放題。
前から気になってたけど、ミニシアター系のハッキリせん小難しい作品ちゃうかと思い手が伸びひんかった。

話はギャロ演じる男が5年の刑期を終えて出所するシーンから始まる。
彼は5年前にアメフトのスーパーボウルで地元チーム「バッファロー」に何万ドルも賭けるが、
最後のフィールドゴールのキックミスで敗戦。
賭け金を払えないギャロは胴元のミッキー・ローク!に脅され、彼の友人の身代わりとなって服役する。

彼は両親に5年間服役していることをひた隠しにし、
「実は政府の要職に就いている」とか
「かわいい奥さんと結婚した」とずっと見え透いた嘘をついていた。

ワルぶってるけど両親想いの男であり、子供じみたところもあるが、一言でいえば情けないダメ男。

出所し両親に電話した途端、嫁を連れて来いと言われ、見ず知らずの通りがかりの女性クリスティーナ・リッチを
無理やり「拉致」し実家に連れて行き、自分の妻を演じるよう強要する。

そんな彼には出所してもう1つ目的があった。
刑務所に入るキッカケとなった、スーパーボウルで最後にキックミスした元選手。
その選手は八百長でワザとミスしたと思い込み彼に逆恨みをし、彼を殺してやろうと思っていた・・・。


前半はロードムービー風に彼女とクルマで実家へ向かう姿を、
中盤は実家で彼女と両親の4人で食卓を囲む姿をユーモラスに、
後半は逆恨みの元選手を殺そうと向かう途中、少しずつ彼女と打ち解け合う姿を描いてる。

見所は後半、元選手を殺そうと向かう途中の二人。
時間潰しに入ったボーリング場やファミレス、そして最後のモーテルで嫌がる彼と強引に一緒に風呂に入り、
ベッドで寄り添いキス。
体に触れられることさえ拒んでいた彼が少しずつ変化していく。

彼が元選手を殺して自分も死のうと考えてるとは露とも知らない彼女だが、嫌な予感を感じたのか、
彼女の好きなココアを買ってくると言って部屋を出て行こうとする彼に対し
「必ずすぐに帰ってきて」と懇願する。

さてダメ男の取った行動は? 
ココアを買ってきて彼女とハッピーエンドか?
元選手を殺し彼女を残して自分も死ぬバッドエンドか?・・・。


この映画は最初に書いた通りカッコよく何でもこなすギャロが描く、カッコ悪く情けないダメ男の物語。
クリスティーナ・リッチ演じる女性も変わった不思議少女。
だが、誰かに愛されたいと願いながら、体に触れられることさえ拒んでしまう、そんな彼に母性本能を感じたのか、
逃げれる隙はいくらでもあるのに彼に黙って従い、そっと寄り添いついて行く彼女。


「最悪の俺に、とびっきりの天使がやってきた」・・・この映画のキャッチコピー。
ダメ男と不思議系女のカップルで、数多い映画の中でも私の中ではほのぼの印象に残ったベストカップルの一つで、ラブストーリーやった。
二人が一緒に入浴するとかベッドインするといっても、もちろん性描写どころかそんなことすら想像させない二人。
この作品、人気あるの分かる。是非カップルで観て欲しい映画やわ。★★★★


日本版ダメ男の「電車男」が出版され、映画・ドラマになり大流行したが、ギャロはお洒落やけどユーモラスに、
それでいてセンスいっぱいの映画を作っちゃったって感じ。
お勧めです。