『1000人の「そこが知りたい!」を集めました
親・配偶者が高齢になったら家族で相談すること』
(オレンジページ)
何冊読んでも覚えられることはごくわずか。
でも今回はオレンジページさんということで、かなり易しくシンプルに、コンパクトにまとまっています。
「成年後見制度」です。
「成年後見制度」は、認知症などで判断能力が低下した人のための制度。
判断能力が衰えても安心して生活できるようにするため、本人の意思決定を支援する後見人をたてることができます。
財産管理だけでなく、入退院や高齢者施設への入所手続き、費用の支払いなども頼むことが可能です。
「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つの種類があり、最大の違いは「自分自身で後見人を選べるかどうか」です。
「法定後見制度」は判断能力が低下した人に対し、家庭裁判所が後見人を選びます。
一方で「任意後見制度」は、本人の判断能力があるうちに、自分の意思で信頼できる人や専門家に後見人を頼むことができます。
「任意後見制度」は配偶者や親戚、友人などにも後見人を頼むことができますが、「法定後見制度」は誰にするかを家庭裁判所の判断に委ねることになります。
専門家が後見人になるデメリットです。
〇 月々2万~6万円ほどの報酬を支払わなければならない。一度契約内容がスタートすると、被後見人が亡くなるか、または判断能力低下の症状が完全に回復するまで契約が続き、コストがかかり続ける。
〇 お金の引き出しには後見人の許可が必要となる。被後見人に無関係なお金だと後見人が判断した場合、引き出しを認めてもらえず、不便が生じることも。
そして、資産整理のために本人にやっておいてほしいこととして、
〇 使用頻度の低い銀行口座は解約をし、1,2口に絞る。
〇 遠方の放置している山や「原野商法」で買ってしまった土地等は、相続発生前に処分する。
〇 ネット銀行やネット証券、サブスクリプションなどのインターネットで完結するものは、紙の通帳等の形に残らない分、家族が気づきにくい。契約内容やID,パスワードなどをまとめておき、あまり使わないものは早めに解約を。
遺言書で無効になってしまうものです。
〇 日付や署名、押印がない遺言
〇 書いた時点で認知症が始まっていたと認められた遺言
〇 夫婦など、複数の人が共同で作成した遺言
〇 ビデオや音声による遺言
なお、エンディングノートは本人の意思を家族に伝える方法の一つとしてよく知られるようになりましたが、遺言書のような法的な効力はなく、あくまでも「本人の意思の表明」なのでご注意をと。
亡くなると銀行口座が凍結されるって本当?
には、はい、口座から引き出せなくなります です。
銀行が遺族からの連絡や新聞の訃報欄、葬儀の案内などで名義人の死亡(=相続の発生)を知ると、その時点から預金口座は凍結され、故人のお金を引き出すことができなくなります。
しかし一方で、葬儀費用や生活費など、お金を引き出さなければならない場面もあるでしょう。
凍結後にお金を引き出すには、相続人全員の同意と印鑑が必要になります。
この場合、相続人同士が遠方に住んでいたり、不仲で協力して手続きができない場合、引き出しができないことになってしまいます。
そこで2019年に始まったのが、「預貯金の払戻し制度」です。
これにより、相続人全員の同意がなくても、凍結された口座から一定の金額(1つの金融機関から最大150万円)が引き出せるようになりました。
気をつけたいのは、すぐにその場で引き出せるわけではないこと。手続きには提出すべき書類も多く、揃えるのに手間と時間がかかります。
また申請後も、精査に2~3週間ほどかかるので、すぐにお金が必要な場合には向かないでしょう。
相続放棄についてです。
親や配偶者が亡くなって遺産の整理をしたときに、すべてプラスの遺産なら問題ありませんが、借金などのマイナスの遺産が残されている場合があります。
そんなときはマイナスの遺産をどうするか、相続人本人が決めることができます。
ただし、相続が開始したことを知った日から3か月以内に家庭裁判所で「相続放棄」の手続きをとっていない場合、3か月を過ぎてしまうと、自動的にマイナスの遺産も相続することになるので気をつけましょう。
もう一つ知っておくべきことです。
相続が発生してから相続放棄の手続きまでの間、もし少しでも自分のために遺産を使った場合は、相続放棄をすることができなくなってしまうのでご注意ください。
相続放棄をした場合、マイナスの遺産は相続の順位に従って、次の相続人へと相続されることになります。
最終的にすべての相続人がマイナスの遺産の相続を放棄した場合、債権者は回収できないまま泣き寝入りをすることになります。
専門家に相談する内容です。
〇 弁護士
遺産相続についての法律相談、遺産分割の代理人、家庭裁判所での代理人等
→ 相続で争っている場合は「弁護士」へ
〇 税理士
税金・会計の専門家で、確定申告・相続税申告書の書類作成や税金い関する相談、税務調査の立ち合い等
→ 相続税がかかりそうな場合は「税理士」へ
〇 司法書士
不動産の相続登記、各種名義変更手続きの代行、成年後見、家族信託等。相続の手続き業務は得意分野
→ 相続争いや相続税がかかる見込みがない場合は「司法書士」へ
〇 行政書士
遺言書の作成、各種名義変更手続きの代行等。ただし司法書士と違い、不動産の名義変更(登記)の代行はできない
→ 遺産の中に不動産が含まれていない場合は、「行政書士」への名義変更手続きの代行依頼も可能
では専門家を決めるときのポイントはどんなことでしょうか?
同じ専門家でも、それぞれに得意分野があります。たとえば一口に税理士といっても、すべての税理士が相続税に詳しいわけではありません。
じつは相続税は、遺産の分け方によって税金のかかり方がかなり変わってくるのです。そのためどんな税理士に相談するかが、相続税の額を大きく左右するポイントとなるでしょう。
ほかの専門家についても、依頼先を決める際には同業種の複数の人と話をしてみましょう。
アドバイスや内容の伝え方、わかりやすさや自分との相性などをふまえて決めるといいでしょう。
問題の解決件数を確認することもおすすめです。
今回この本を読んで、新聞の訃報欄には気をつけようと思いました。
銀行がチェックしていて口座の凍結に利用しているわけですよね。危ない危ない。
父は銀行員だったので、その銀行からはいつまでも引き出すことができました。
その調子で母の時も新聞に載せたらだめなんだな。
父の時、載せたは載せたんだけど、亡くなったことを後から知った人たちからお焼香に来たいと言われたの、断るのが面倒だったので、来るべき母のときも少なくとも新聞には載せて、お葬式にみんな来てねーと思っていたのです。
でも、母も親しい人は限られてるから載せなくていいよって言ってたし、迷ってたけどここはすっぱり載せないことにしよう。
うんうん。吹っ切れました。
ありがとう、オレンジページさん