『ごりやく歳時記  1月』

(桜井識子著  幻冬舎)




そういうわけで、1月です。




「年が明けたらすぐにやること」



まずは神棚と仏壇に年始のご挨拶を。


年が明けた新年の0時0分、家族に「明けましておめでとう」と言ったあと、神棚と仏壇があるお宅は、神棚と仏壇にご挨拶をします。



年明けのお供え物の準備は、12月31日の23時45分をすぎたところですでに終えていますので、まずはロウソクに火を灯(とも)すところからです。



神棚が先か仏壇が先かは、自分の判断でかまいません。


神棚へのご挨拶の仕方は、ロウソクに火を灯し、2拍手をして、できれば祝詞(のりと)を唱えます。


新年最初のご挨拶ですから、祝詞はいつも以上に尊いものとして、神様にとても喜んでもらえます。


メモを読みながらでも、読むのがたどたどしくても、そこは気にせずに唱えたほうがいいです。



祝詞を唱えたら、「明けましておめでとうございます」とご挨拶をして、新年の抱負などをお話し、2拍手で締めます(締めの2拍手はしたほうが丁寧です。神社でする最後の1礼は、神棚ではしてもしなくても、どちらでもオーケーです)。



通常はここでロウソクを消しますが、年明け最初のこの時だけは、すぐに火を消さずに、少しの間火を灯したままにしておくほうが喜ばれます。


神様は新年のおめでたい雰囲気を、お供え物を召し上がりながら、お酒を飲みつつ、楽しんでいるからです。



神社の窓口である神棚だと、神社から眷属(けんぞく)がやってきて、お供え物を喜んで召し上がっています。


ですから、「ごゆっくりどうぞ」という意味で、ロウソクを少し長めに灯しておきます。


用心のため、火の監視を忘れないようにします。


神職さんが唱えた祝詞を収録しているCDを持っていたら、ご挨拶のあとに「大祓詞(おおはらえのことば)」を流します。


おめでたいお正月の食事をしながら、神楽などと同じ「音の奉納」を新年明けてすぐに楽しめるのですから、とても喜んでもらえます。


「そろそろ、ロウソクを消してもいいかな?」なと思えば、そこで消してかまいません。


ロウソクを消したら、お供え物を下げます。



私の母は「せっかくのお正月だから、ロウソクが燃え尽きるまでそのままにしておきたい」と、火が自然に消えるのを待っています。


しかし、短いロウソクでも、かなり待つことになりますし、燃え尽きるまでじっと見ていなくてはいけないので、「もういいかな」と思ったら、遠慮なく消します。



仏壇も同じくロウソクを灯して、それからお線香をお供えします。


おりんがあるお宅はおりんを鳴らして、まず般若心経(はんにゃしんぎょう)を唱えます。


般若心経も何かを見ながら唱えても問題ないものです。


下手でも、引っかかりながらでも、唱えたほうが喜ばれます。


般若心経を唱えたあとで、新年のご挨拶をして、抱負などを話します。



お坊さんが唱えた般若心経を収録しているCDを持っていたら、または動画があれば、そちらを利用してもかまいません。


この場合は、先にご挨拶をして、お話をし、最後にCDや動画を流します。


仏壇も普段より少し長めにロウソクを灯し、ご先祖様にお正月の雰囲気を楽しんでもらいます。




「初日の出」


運気を上昇させてくれる特別な日。


初日の出に手を合わせて拝むことで、その年の運気がアップします。



科学的に考えれば、1月1日の日の出も、他の日の日の出も変わりはないのですが、スピリチュアル的に初日の出の太陽光には確実に何かが作用しています。


夏至・冬至、春分・秋分にはない、運気を上昇させる「何か」です。



「では、初日の出を見に行こう!」となったら、次に考えるのは「どこで見る?」という場所の選定ではないでしょうか。


私は地平線から以外すべて経験しましたが(新幹線の窓から見たこともあります)、どこから昇った太陽なのかで、もらえる効果が変わるということはありません。


わざわざ遠出をしなくても、自宅の庭でオーケーです。


ご病気の方や、早朝に外出するのが困難な方は、家の窓から見ても大丈夫です。



現地に着いたら、寒いのですが、太陽が昇る少し前に車から出て待機しています。


暗い空がだんだん明るくなっていき、太陽がピカーッと顔を出したら、2拍手して頭を下げてお願いをします。


お願いが終われば、2拍手して締めます。



「太陽が出たら、とは、具体的にどれくらい顔を出した時でしょうか?」という質問をもらったことがあります。


私は光がピカーッと射したら、まず3~5秒見ています。


「新しい年の太陽だ~。1年の幕開けを見ることができて縁起がいいな。ありがたいな」と、感謝の気持ちで見て、それからお願いをしています。



正直な話、周囲に人が何人もいるようなところで見た場合、柏手を打ったり、拝んだりするのはちょっぴり恥ずかしいです。


しかし、その恥ずかしさと1年間の運気アップを比べたら断然後者のほうが大事なので、堂々と柏手を打ち、拝んでいます。


初日の出を見に行ったら、太陽への願掛けは欠かしません。見るだけで終わった年は一度もないです。


願掛けをするのは太陽が全部姿を現してから、というやり方も悪くはないと思うのですが、出た瞬間のパワーが一番強いので、お願いも早めにしたほうがいいです。



朝は雨がザーザー降りで太陽を見られなかった。でもお昼になったら晴れて、太陽が出てきた。


「これって初日の出はお昼?」と思うかもしれませんが、残念ながら違います。


初日の出はあくまでも朝です。


山から昇ったり、ビル群から昇ったりと、若干時間の差はありますが、日の出の時間帯の太陽に限ります。





「人日の節句」1月7日



1月7日は「七草がゆ」を食べる日です。


五節句のひとつであり、重要な日でもあります。


五節句とは、

人日(じんじつ)(1月7日)、

上巳(じょうし)(3月3日)、

端午(たんご)(5月5日)、

七夕(しちせき)(7月7日)、

重陽(ちょうよう)(9月9日)

のことを言います。


季節ごとの食物を神様とご先祖様にお供えし、節句をお祝いするこの行事は中国から伝わったものです。



スピリチュアル的に言うと、五節句はすべて「邪気を祓える日」です。


ですので、知らず知らずのうちにくっついているよくないものや、どこかで拾った小さな厄(不運)、人から飛ばされた念(軽いもの)など、運気上昇を妨げるものを祓う日として、利用します。



1月7日のこの日は七草がゆを食べることで、邪気が祓われます。


七草というのはセリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロで、それぞれ体によい作用があるため、食べると1年間健康にすごせると言われています。



実はこの日は、七草に限らなくても、七種類の野菜(植物)を同時に食べることで、見えない世界で「邪気祓い」のパワーが発揮されます。



たとえば、おかゆに入れるとしたら、ほうれん草、大根、白菜、人参、じゃがいも、小松菜、三つ葉、でもいいのです。



量はほんのわずかでかまいません。お椀の中に7種類が入っていればオーケーです。


このおかゆでもしっかりと邪気が祓えます。植物を7種類、同時に食べることが重要なのです。


おかゆだけでなく、カレーでも、シチューでも、7種類の野菜を入れれば効果があります。



ここで重要なのは「肉・魚を入れない」ということです。植物のみのお料理にします。


出汁や固形ルウに入っている肉や魚のエッセンスというか、旨味を抽出したものは気にしなくてもオーケーです。



お雑煮もいいと思います。ただし、お餅は植物としてカウントしません。


炊き込みご飯も肉や魚を入れずに、野菜(植物)のみで炊けば七草がゆと同じ効果を発揮します。


7という数字はラッキーセブンとして親しまれていますが、見えない世界でも、すべてが丸く平和に収まる、物事がよい方向にうまく進む、という特徴を持った数字となっています。


七福神も7の特徴がプラスされるために、ますます縁起がいいのです。



松の内が7日までという地域は多く、そこから考えると、確実に新年のおめでたい「気」が漂っているのはこの日までです。


晴れやかな「気」を浴びられる最終日(7日)に、植物のパワーを7種類摂取することで、邪気が祓えるようになっているのです。



植物を7種類食べることで邪気が祓えるのは、1年で人日の節句だけです。


せっかくなので、美味しくおかゆなどを食べて、1年の健康、平和を手に入れます。








今年ももうすぐ終わりですね。




一年間、たまにご訪問くださりありがとうございました。



来年も刺繍の合間を縫って本を読みたいと思います。



皆様にとって、楽しいことがいっぱいの明るい良い一年でありますようにおねがい