土日挟んで、問題の月曜日。


就業開始から一時間ほど経過した頃、一通のメールが届いた。


鼻毛女の隣りの席の女子からだ。


そのメールを開くとソコには…



”剃ってない”


…の大きな文字。


この”剃ってない”の意味するところ。


実はこの鼻毛女、鼻毛だけではなくヒゲもフサフサなのだ。


正確に言うと”産毛”なのだが、どっからどう見てもヒゲにしか見えないほど濃い。


鼻毛は一ヶ月前からだが、ヒゲはもう何年も生やしっ放し。


そこで、今回、鼻毛を指摘したことに便乗して、ヒゲも剃るよう促したのだった。


にも拘らず、剃ってない。


だが、これは想定内。


こりゃ、昼休みにダメ出しせねば。



そして、迎えた昼休み。


店に入り、腰を落ち着かせてから徐に切り出した。


「ちゃんと処理してきたの?」と聞くワサビ。


「うん!」と応える鼻毛女、改め、ヒゲ女。


えっ?



え"ーーーーーーーーっ!?



お隣りの女子からのメールには”剃ってない”ってあったのに…


しかし、本人が自信満々に応えるからには本当なのだろう。


ヒゲ女の顔を見た。


だが、店の明かりが白熱色だったため、その場での確認は難しかった。


とりあえず、真実を確かめるべく会話を続ける。


ワサビ「何を使って剃ったの?」


ヒゲ女「この間教えてもらったやつ」


ワサビ「あぁ、電動カミソリ買ったんだ」


ヒゲ女は、電動カミソリの存在を知らなかったのだ。


ヒゲ女「うん、ドンキで680円だった」


身だしなみに気を遣う女性なら、きっと、もっと良品を購入するだろう…


まぁ、こういった”女子的アイテム”を持ったのは初めてのことだろうし、これでマメに手入れをしてくれれば値段は問題じゃないか。


そんな事を思いつつ食事を終え、外に出た。


改めて、ヒゲ女の顔を見た。


み…醜い…いや、汚い…いや、マジであせる


角質だらけの浅黒い顔の鼻の下を確認。


確かに、フサフサ感はなくなっていた。


しかし、なぜだろう?


ヒゲがあるように見えるのは…



はっ!!



ワサビはそのことに気が付いた。


ヒゲ剃り跡だ!


ヒゲ剃り跡が”くっきり”残っている。


だから、隣りの女子には剃っていないように見えたのか。



『ヒゲ女 ヒゲを剃っても ヒゲ女 あぁ情けない ヒゲの結末』



ヒゲにばかり気を取られ、鼻毛のチェックを怠ってしまったが、こちらは無事処理出来たようだ。


しかし、また、いつお見舞いされることやら…