地元の駅の改札を抜けると雨降りであった。

このまま真っ直ぐ帰りたいところではあるが、今日は歯医者の日。

先週、突如欠けた奥歯の2回目の治療日。

そして、今日は麻酔(注射)をされるのであった。

先週、予告されてはいたものの、結構ドキドキ!

歯医者通いなんて何年振りだろう。

…何年振りなんてもんじゃない!十数年振りだ。

そりゃ、ドキドキもするわな。


予約時間は19時。

それよりも、10分早く着いてしまった。

なんだろう…妙に落ち着かない。

カバンを抱えて暫し待機。


19時丁度。

名前を呼ばれ診察室へ移動。

診察台に腰掛けると背もたれが倒された。

心の準備も出来ないまま

「ちょっとチクッとしますよ~」

…と、先生の声。

次の瞬間!

刺さりましたよぉ~、針が。

ワサビの歯茎にプチュ~っと。

しかも、1ヶ所だけでなく何ヶ所も。

(うぅっ…微妙に痛苦しい…)

麻酔が効くまで暫し待機。


ジワジワ~っと右の口元が麻痺してきた。

おもむろにタオルで目元を覆われ、いざ、治療開始!

「痛かったら手を挙げて下さいね~」


チュイィィィィィーーーーーーーン


久々に聞いたあの音。

緊張で体が硬直していた。


「んがっ」

早々と手を挙げるワサビ。

「沁みた?じゃあ、もう少し麻酔使いますね」

麻酔の追加入りました~!


その後はさほど痛みも感じず(…痛い瞬間もあったけど)本日の治療、無事終了~。

それにしても、今の歯医者ってスゴイね。

治療箇所を画像で見せて説明してくれるのね。

いや~、進歩進歩♪

十数年も経てば当たり前か。


今回の治療を機に、全ての虫歯を治そうと思い先生に聞いてみた。

「この歯以外に虫歯ってありますか?」

すると、先生。

「クリーニングしてみないと分からないけど、大きい虫歯はこれだけだと思いますよ」

おぉっ!なんと。

十数年も歯医者に掛かっていなかった割には、虫歯1本で済みそうだとは。

我ながら丈夫なエナメル質を持ったもんだ。


そんなこんなで19時半。

歯医者を出ようと扉を開けたワサビ。

目では確認していた『押す』の文字。

にもかかわらず、思いっきり引いていた。

両開きタイプだったのか、引いても開いてしまった扉。

だが、それを見ていた受付のお姉さんがすっ飛んで来た。

「…す、すみません」

謝りながら扉を抜けると土砂降りであった。

最近流行りのゲリラ豪雨。

(こんな降り方が長時間続いたら、そりゃ、道路も冠水しますわな)

歯医者から自宅まで約5分。

自宅に着いた時、穿いていたパンツの裾の色がすっかり変わっていた。