稽古から考えるとなんだか本当に後三回で終わりなのか、実感がわきません。
これだけ昭和の新宿について想ってきて、新宿で飲み続けたことで
多くの方に出会っております。
舞台を観に来ていただいた皆様から、あの頃の昭和の新宿って
やっぱり魅力的だったなぁという声もいただいております。
新宿という街は新宿にしかない魅力がもちろんありますが、
その時代を象徴する1つの街と言うことでもあると思います。
昭和の魅力はやっぱりどうしても太平洋戦争とは切り離せないことを実感いたします。
戦後の闇市で食べたモツ煮込みには、今のように豚や牛ではなく、
猫や犬の肉だったとか、メチルアルコールで目がつぶれたとか、
ヒロポン打って目を覚まして舞台に立ち続けるとか。
何もかもなくなった所から立ち直るために、生きたいと思う人間が
何としてでも生きようして、生き残るための時代。
現在の、生きていく最低限以上のものを余るほど手に入れた時代では、
あまりにも増えた人間同士、迷惑をかけないように生きようとする
考え方とは違いますもんね。
今の当たり前の行き方の"相手を傷つけたくない"ということにしても、
それも戦争からも学んだことなんだと思います。
今回直接的に携わった人間は現在生きている人間です。
戦後の昭和を体験してきた方々と、その方々に育てられた人間が舞台に立っています。
ですからヒロポンを打って舞台になっているわけではないんですけれども、
ただ、この舞台に関わるとどうにも昭和を思い出す。
当たり前の話を書いたまでですが、これが本番に入ってから、
深く深く実感しているのです。
舞台は魅力的な場所です。
あの場所には我々が稽古をしてきた世界そのものがあります。
そこに立つとまさにその時代のその瞬間なのですから。
死んだ人間のことも思い出すわけです。
もちろん今生きている人間についても。
"人間"を実感いたします。
どんな時代に生まれても
自分が死ぬ時に「悪くはなかった」って思えるように生き抜いていきたい。
気がつけば残り三回になってしまいました。
あーー
今回いただいた役を演じるのもあと三回か~
あれだけ毎日稽古し続けてきたこの役もあと三回しかやらない
悔いの残らないようにかみしめて舞台に立ちたいと思います。
「新宿昭和ラストナイト」

かみしめてやらせていただきます。