浅田次郎さんの本で、
中国の伝説の動物
シエ
という生き物のお話があります。
人の不幸を食べてくれる生き物だそうです。
人の不幸を食べて、おなかいっぱいになって、
シエはすやすや眠っているんです。
でも、シエはある日気づいてしまうんですよ。
わたしは涙が止まりませんでした。
この涙の理由はよくわからないけど、
すごく切なくて、
シエが抱える孤独は
きっと誰にも理解できないものなのに、
すごく心に響く。
考える生き物っていうのは、
いつも何かに頭を悩ませ、
心を曇らせていく、
その儚さ。
どうしようもないことに気付いてしまったときの
絶望。
喜びや楽しさを感じることがあるから
それらを受け入れられる。
両方があるから、それぞれが引き立つ。
その両方を分かち合える存在が
とてもとても、愛しい。
雨の日に読んで、
そのままその日一日を
シエを考えてぼんやり過ごしたい。
浅田次郎先生の本は
いつも素敵だ。
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