■2023年7月に観た映画
13本(劇場、配信、レンタル、見直した作品を含む)(うち短編0本)
・イノセンツ (原題:De uskyldige) - 3.1 (2023.7.28/ミッドランドシネマ名古屋空港)
監督 脚本:エスキル・フォクト。2021年。日本公開2023年。皆が言っている事だとは知りながらも、童夢でクロニクル過ぎる一作。しかしサイキックものが苦手すぎるなと改めて感じた。マジで途中からどうでも良くなってしまう。テンポも悪い。ヨアキムトリアーのバーター売りに騙された。
・セフレの品格(プライド) 初恋 - 3.6 (2023.7.25/ミッドランドシネマ名古屋空港)
監督 脚本:城定秀夫。原作:湊よりこ。2023年。お話自体や役者の演技、漫画原作故の荒唐無稽さが満載だったり(苦手なんです)、ノれないんだよなぁと感じる部分は多いものの、演出やカットのテンポ感で全くダレる事なく完走。手練れ過ぎる。普通に続きが楽しみ。伊藤克信の登場に和んだ。
・ヴァチカンのエクソシスト (原題:The Pope's Exorcist) - 3.6 (2023.7.21/小牧コロナワールド)
監督 脚本:マイケル・ペトローニ。脚本:エヴァン・スピリオトポウロス。2023年。単純にもっとおどろおどろしいものを期待してしまったので何だかゆるーく見終えてしまった。よく出来てると思う。スクーターで移動するラッセルクロウに萌える映画。
・CLOSE/クロース - 3.7 (2023.7.18/ミッドランドシネマ名古屋空港)
監督 脚本:ルーカス・ドン。脚本:アンジェロ・タイセンス。2023年。非常に丁寧に作り込まれた作劇と画面は、充分過ぎるほど。なのですが...どうしても映画としてエンタテインさせたい部分が自分の嗜好とはあまり合わず。ドキュメンタリ風な寄りの画が続けば続くほどこちらの気持ちは冷静になっていった。どうしても画作りが自分の趣味とは合わなかった。映画はもっと登場人物(ないし乗物など)の<運動>をしっかりと魅せるべきだと思う。同じくベルギーのダルデンヌ兄弟と同じような流れを感じるが、彼らとは器量が全然違うでと言いたい。
・海よりもまだ深く - 3.6 (2023.7.16/U-NEXT)
監督 脚本 編集:是枝裕和。2016年。勝手に是枝祭開催中という事で鑑賞。面白くはあったが、これまで観てきた是枝作品の中ではちょっと落ちるかなという感じ。もう少し前の作品かと思ったら意外と近作で16年。それを知り、よりちょっと点数が落ちた感はある。何がつまらなかったかと聞かれると、あまりにも何も起き過ぎないし、脚本が型通りにも感じた。そして何よりもクライマックスである台風接近からのタコの滑り台で起こる事の些細さ。これに尽きると思う。これまで是枝作品はエンタメ的なクライマックスは勿論用意されていないのですが、それでも無いなりに他でアガる部分やさすがと思える部分が多かっただけに今作の薄味っぷりはこういう感想になっても仕方ないような気がする。
・君たちはどう生きるか - 3.3 (2023.7.14/イオンシネマ名古屋茶屋/7.18/ミッドランドスクエア名古屋空港)
監督 脚本 原作:宮﨑駿。2023年。初日Dolby Atmos。支離滅裂な作劇にクラクラ・ウトウトしながらも最終的にはスーパーメタなジブリと観客に対する真摯なメッセージにたどり着く。はっきり言って面白くないが、ジブリヲタならば泣かずにはいられないだろう。冒頭5分は必見。あまりの支離滅裂っぷりにストーリーを追う事を諦めてしまい、ぶっちゃけ中盤睡魔に身を任せ寝た。1回目の鑑賞後に、考察サイトやYouTubeなどをいろいろ観て、分かった部分や納得できた部分、やっぱり自分は間違っていなかったと実感できた部分、寝てしまった部分も含め確認しようと思い、2回目の鑑賞を決意。2回目観た時はストーリーの支離滅裂さは全く気にならず、むしろ全然わかる話じゃんと思いながら観た。でもたぶん5分くらい寝た。そこを補完するためにもう1回観たい。(観ない)
・小説家の映画 (原題:소설가의 영화/洋題:The Novelist's Film) - 4.1 (2023.7.11/伏見ミリオン座)
監督 脚本 撮影 編集:ホン・サンス。2022年。日本公開2023年。どこをどう感じて面白かったのかうまく言語化する事が出来ない。が、かなり面白かった。今作は今まで観たホンサンス映画の中でも、いつ物語が破綻してしまうか分からない緊張感を終始孕みながら進行された。中盤以降の<登場人物大集合>シーンからグググっと引き込まれ(ぱっと見の画面は何も盛り上がっていませんが)、ラストまで釘付けだった。特に印象的だったのが、新作映画の物語をどんなものにするのかという話から、思いついた一例である軽いプロットを主人公であるイ・ヘヨンが話すと、詩人のおっさんが「そんなんじゃだめだ、物語なんだから物語らしいパワーがいる」と口を挟む。イ・ヘヨンは「そんなものは必要ない」と一蹴。すると向かいに座るキム・ミニが「私、その話体験した事がある」と言った一連の流れ。ハッとした。自分が映画に求める事柄を主人公は分かっている、と。[瞬間的に例えで出した内容の薄いプロットでも目の前にいる人が自分事に感じている]という事実がある以上、映画における<物語>は(そこまで)重要ではない、と私も思うからだ。それを脚本というか、劇映画として登場人物たちに話させ、映像にしたことはすごい事だと思う。ラストカットの試写室から出てきて誰もいないロビーで待つキム・ミニの表情もまた絶品だ。終わりの切れ味も最高。
・Pearl パール (原題:Pearl) - 4.0 (2023.7.10/センチュリーシネマ)
監督 脚本:タイ・ウェスト。脚本:ミア・ゴス。2022年。日本公開2023年。前作よりも分かりやすいジャンル感は減り、パールの内面とその出来事の方向へシフトチェンジ。3部作を通したこのサーガこの濃度は一層に増した。ショッキングなシーンはもしっかりと用意されており、印象的な場面が多かった。なによりもミア・ゴスの凄さ。
・マルセル 靴をはいた小さな貝 (原題:Marcel the Shell with Shoes On) - 3.5 (2023.7.10/伏見ミリオン座)
監督 脚本:ディーン・フライシャー・キャンプ。脚本:ニック・パーレイ。ジェニー・スレイト。2021年。日本公開2023年。個人的にはこれと言って特に惹かれるところも無いままボヤっと時間が過ぎていってしまった様に感じる。ストップモーションはすごく自然だが、もう少しいなたい方が好み。話も平坦で特に感想がない感じになってしまった。
・ウーマン トーキング 私たちの選択 (原題:Women Talking) - 3.7 (2023.7.4/伏見ミリオン座)
原作 脚本:サラ・ポーリー。原作:ミリアム・トウズ。2022年。日本公開2023年。彩度を極端に抑えた締まった画面に緊張感が漂う。戯曲的である会話劇での展開に終始する事により時間経過を強く感じさせ、議論の進行と共にクライマックスに向かっていく気持ち良さがある。去る選択肢の大切さを。
・⻘いカフタンの仕立て屋 (原題:Le bleu du caftan) - 3.5 (2023.7.4/伏見ミリオン座)
監督 脚本:マリヤム・トゥザニ。2022年。日本公開2023年。まずもって話自体がきちんとし過ぎていて大方の展開に予想が出来てしまい、正直退屈だった。テンポも合わないなーと感じたまま見終わってしまった。リアリティに欠ける描写や話運びも多く感じた。微妙。
・歩いても 歩いても (洋題:STILL WALKING) - 4.0 (2023.7.2/U-NEXT)
原案 監督 脚本 編集:是枝裕和。2007年。勝手に是枝祭開催中という事で鑑賞。いやー、すごい。どれ観てもハズレが無いのがまずすごい。この作品の感想としては、一言、<こわいわ!>といった所でしょうか。めちゃくちゃ嫌ぁ~な話で最高だった。話が良い上に、撮影も編集も演出も良いとなるといよいよファンと言わざるを得ないのが現状。鑑賞後に検索したら予測検索で[兄 生きている][兄 死んでない]とか出てきてビビる。ビビるというか、こええわ。
・その手に触れるまで (原題:Le jeune Ahmed/洋題:Young Ahmed) - 3.6 (2023.7.2/U-NEXT)
監督 脚本:ジャン=ピエール・ダルデンヌ。監督:リュック・ダルデンヌ。2019年。最新作である「トリとロキタ」が非常に良かったので過去作もいつか観てみたいな~と思っていたらU-NEXTで配信終了間近だったので鑑賞。87分、エンドロール含めると83分ほどの小作。13歳の少年が宗教に熱心になってしまい...という事ですが、うーん、いかんせんお話が面白く無さ過ぎてどうにもという感じで。相変わらず実在しているかの様なリアルなタッチはすごいなあと感心するのですが、今作に限ってはまああまりという総評でしょうか。役者もイマイチ。