あたしに対してじゃないんだけど
未回収の売掛金のことで
珍しく前彼部長が事務所で怒鳴った
大声で、相手を脅すような言葉も入れて
その後の流れをみていて
それは、一種の駆け引きの様で
一部演技も入っていたみたいなんだけど
男の人の怒鳴り声は苦手
というよりも、ダメ
まして、親しい部長の突然の怒鳴り声だったし
相手を脅すような言い方だし
怖い・・・
怖い
怖い
怖い
部長に対してというよりも
ただ、ただ「怖い」という思いだけが
頭の中をぐるぐる
冷静な判断ができなくなる
ただ、ただ「怖い」という感情に呑まれそうになる
溢れそうになる涙を、必死に抑える
ここは会社だし
仕事中だし
周りに人が居るし
落ち着けあたし
あたしの中のあたしが
取り乱れるあたしを必死に宥める
きっと、みんな、わからないだろう
大げさだと思われるだろう
悲劇のヒロインになりたいわけでも、なんでもない
これが、あたしの闇
もう何年も経っても
あれから離れた生活をしていても
離れているからこそ
ふいに闇に掴まれた時の衝撃が大きい
油断してるから
あの頃のように身構えていないから
突然甦ってくる恐怖に
うまく太刀打ちできない
怖い
怖い
怖い・・・
それでも、なんとか乗り切った
あたしは多分セーブモード
感情を押し込めて
きっと周りには気づかれなかった
ただ、部長の声に驚いていた位にしか思われなかっただろう
頑張ったね、あたし