ユーザー離れにあえいでいたパチスロ業界に、メダルを使用しないパチスロ機“スマートパチスロ”通称「スマスロ」が登場したのが2022年11月のこと。
2023年4月にかつての大ヒットシリーズ『パチスロ北斗の拳』のスマスロバージョンとなる『スマスロ北斗の拳』が登場し人気を博したことも影響し、パチスロ人口がV字回復するなど、スマスロはパチスロ界の救世主にもなった。
そんなスマスロ登場から2年の月日が経とうとするなか、パチンコホールではますますスマスロの存在感が大きくなりつつある。
スマスロが支持される大きな理由は、それまでの6.5号機と呼ばれるパチスロ機に比べて、出玉性能が高いことだ。パチスロ事情に詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏が説明する。
「パチスロ機については、基本的に射幸性が高い機種が人気になりやすく、メーカーも出玉規制の範囲内で、できるだけファンの要望に応えられる機種を開発しようとする流れがあります。
そんななか、2005年以降に登場した5号機と呼ばれる機種の射幸性の高さが問題となり、2018年に出玉性能が抑えられた6号機が登場します。
しかし、6号機はあまりにも射幸性が低くなってしまったがゆえに、著しいユーザー離れを招いてしまいました。そこで、2022年に出玉規制が緩和されたメダル機の6.5号機が登場し、さらに出玉性能が高まったスマスロが2022年に登場したという流れです。
ちなみに、初代の『パチスロ北斗の拳』は2003年の登場で4号機です。
4号機は、5号機よりも射幸性が高く、1日に数十万円勝つことが可能な機種もありました。
スマスロは4号機ほどではないのですが、それなりに出玉性能が高くなっており、スマスロの時代になって4号機時代に打っていた40代・50代のユーザーが戻りつつあるとも言われています」
では、4号機の黄金時代を実際に体験しているパチスロユーザーたちは、現在のスマスロについて、どう感じているのだろうか。いまでもパチスロを楽しんでいる4号機世代の生の声を聞いた。
一撃数千枚を獲得することは珍しくない
都内に住む会社員のAさん(50代男性)は、4号機の初期の頃(1990年代)からパチスロを打ち始め、現在でも頻繁にホールへと足を運んでいる。
「いちばん楽しかったのは、4号機全盛の2000年代前半ですね。ストック機(ボーナスが連チャンする機種)やAT機(AT=アシストタイム。小役揃えるための打ち方をアシストしてくれる機能を搭載した機種)を打ちまくっていました。
射幸性が高いので、負けるときはとことん負けましたが、その分大きく勝つこともありました。
その後、5号機になって出玉性能は寂しくなりましたが、それでも5号機の後半は一撃万枚(一連のボーナスやATなどの連続で1万枚以上獲得すること)があるような機種もあって楽しかったです」
6号機時代になるとパチスロに行く頻度は落ちたというAさんだが、スマスロの時代になり、またその頻度が高まっているという。
「大きなきっかけは『スマスロ北斗の拳』でした。基本的なゲーム性が4号機の北斗とほぼ同じなので、懐かしさもあって導入時からよく打っています。
ほかにも、『革命機ヴァルヴレイヴ』や『からくりサーカス』など、出玉爆発力がある機種も好きです。
4号機ほどとはいわないものの、一撃数千枚を獲得することは珍しくないし、運が良ければ万枚も狙えるので、当時の雰囲気を多少なりとも感じられる。
5号機や6号機への移行で出玉性能がガクンと落ちた時代を体験している身としては、スマスロの登場は本当にうれしいです。
あと、スマスロは4号機に比べると、1日の負け額がそこまで大きくなりにくいというのもありがたいですね」(Aさん)
Aさんは、スマスロに4号機時代の雰囲気を感じているようだが、実際の出玉性能は大きな差がある。前出の藤井氏が説明する。
「4号機はかなりのハイリスクハイリターンですが、スマスロはそこまでではありません。お金がなくなるスピードも4号機のほうがかなり速いものでした。
パチスロでは1000円あたりで回せるゲーム数が少ない機種ほどハイリスクハイリターンなのですが、たとえば4号機の『ミリオンゴッド』は1000円で20回転くらいしか回らなかったのに、現在のスマスロでは1000円あたり30回以上回せる機種がほとんどです。
スマスロは4号機よりもリスクが低いわけで、当然ながらリターンも小さくなります。6号機があまりにも出玉性能が低かったがゆえに、スマスロが相対的に評価されているということもあるでしょう」