食材を無駄なく使い切るために野菜の冷凍保存も活用したい(写真:イメージマート)

食材を無駄なく使い切るために野菜の冷凍保存も活用したい(写真:イメージマート)

 価格高騰が続き、食費が上がって悩まされている人は多いだろう。食材の量を変えずに食費を抑えるコツはどのようなものか。ファイナンシャルプランナーの鈴木さや子さんが解説する。

 

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 多くの食材の価格高騰が続き、買い物の量は以前と変わらないのに食費が1.5倍くらいになったと嘆いている人は多いことでしょう。

 

食は人の身体を作るものであり、むやみに節約して健康を害しては元も子もありません。

そこで、食材の量は変えずに少しでも食費を減らすために、日常生活においてできることを3つ紹介します。

ちょっとの工夫で賢く楽しく節約して、豊かな生活を送りたいものですね。

【1】フードシェアリングサービスを活用する

 フードシェアリングサービスとは、社会全体のフードロス問題の解決と、家庭での食費節約が両方叶う仕組みです。

 

食料品店やレストランで売れ残った食品や、賞味期限が迫っている商品を安価で購入できるサイトやアプリがあり、誰でも利用することができますが、日本ではまだ一般的に利用されていないのが現実です。

 

【主なフードシェアリングサービス】
・TABETE
 レストランやパン屋などが売れ残りそうな食品を割引価格で提供するサービスです。アプリで近くの店舗が提供する余った料理やパンの情報を検索し、アプリ上で決済をして予約をし、指定の時間に店舗に受け取りに行きます。

 

登録料や利用料は一切かからないため、気軽に利用できるのが嬉しいですね。

横浜市や金沢市など多くの自治体が連携しており、成長中のサービスです。

 

・Kuradashi
 賞味期限が近い食品や、パッケージの汚れや少しの傷があり規格から外れたことで捨てられてしまう日用品など、また、時期が過ぎた恵方巻などの季節商品を割引価格で販売するサービスです。

一般会員であれば登録料はかからずネットで手軽に利用できますが、送料がかかります。

 

 食材によっては大容量の商品もあるため、友だちとシェアするなど工夫が必要でしょう。

このサービスでは、売上の一部を自分が応援したい社会貢献団体に寄付でき、お得に購入しながら良いことができて嬉しい気持ちにもなれますね。

 

【2】安くて保存がきく食品を常備する

 できるだけ長く保存ができて、ある程度価格が低い食品を意識的に多く取り入れることで、食費を抑える作戦です。おすすめ食品は以下のとおりです。

 

・冷凍野菜
 冷凍野菜は保存がきき手軽に使える上に、昨今は生の野菜よりも安い物も多くあり節約につながります。特に使いやすいのはブロッコリーやほうれん草、かぼちゃ、根菜ミックス、刻みオクラで、これらは筆者も常備しています。

 

 ブロッコリーはレンチンしてサラダに加えたり、肉野菜中華炒めにしたり、野菜スープに入れたりと幅広く活用できますし、根菜ミックスはけんちん汁や豚汁に、千切りにされている根菜ミックスであればキンピラも簡単に作れます。

 

節約効果だけでなく、皮むきなどの手間もいらず生ごみも出ない上、料理時間も短く済むのも嬉しいですね。

 

 また、食材を無駄なく使い切るために、自家製冷凍野菜を作るのもオススメです。筆者は、腐りやすいキノコ類、にんにく、しょうが、小葱を買ってすぐに冷凍、常備しています。

 

・乾物
 乾燥しいたけや切り干し大根、乾燥わかめ、ひじきなどの乾物は長期間保存が可能で、栄養価も高い食材が多いのでおすすめです。

 

・缶詰
 缶詰は代表的な節約食材です。長期間の保存がきく上に、セールで安くなることも多いですし、そのままメインとして活用できるものであれば外食費を抑える効果も期待できます。

 

筆者はサバ缶とミックスビーンズ缶、トマト缶、タイカレー缶、焼き鳥缶などを常備するようになってから、休日の外食を減らせるようになりました。

 

 保存がきく食材は非常食としても利用できるため、万一の災害時にも備えることができますね。

【3】チラシアプリで特売品をチェックする

 スーパーやドラッグストアの特売品やタイムセール情報を発信しているのがチラシアプリ。利用する店舗を登録すれば、その店のチラシをいつでも見られるため、買い物前にチェックしておけば、お得な食材で献立を考えるなど活用できるでしょう。

 

 代表的なチラシアプリに「トクバイ」「シュフー」があります。

どちらも近隣の店のチラシを見られるアプリですが、トクバイでは店のクーポンがもらえることがあり、シュフーではチラシを見たりアンケートに答えたりすると、賞品に応募するためのポイントを取得できるなど、特徴が少し異なります。

一度ダウンロードしてみて、使いやすい方を活用すると良いでしょう。

 

まとめ

 いかがでしたでしょうか。今回紹介したフードシェアリングサービス、保存のきく食材、チラシアプリの活用は、どれも日常生活に取り入れやすい方法ばかりです。

 

とはいえ合うかどうかはやってみないとわからないため、機会を見つけて一度チャレンジをしてみてくださいね。

 

【プロフィール】
鈴木さや子(すずき・さやこ)/株式会社ライフヴェーラ代表。CFP認定者、1級FP技能士、DCプランナー1級・キャリアコンサルタント(国家資格)。保険等商品を一切販売しないFPとして活動。専門は教育費・保険・マネー&キャリア教育、確定拠出年金。企業講演の他、小・中学校や自治体等の講演やワークショップなど、保護者や親子向けイベントも行う。著書に『資産形成の超正解100』(朝日新聞出版)がある。