緊急連絡先をどこにすべきか悩む人は少なくない(イメージ)

緊急連絡先をどこにすべきか悩む人は少なくない(イメージ)

 就職時はもちろん、賃貸契約をはじめ、旅行ツアーや入院時など、何かと手続き時に求められる機会の多い「緊急連絡先」。

 

親や配偶者、親族が求められるが、必ずしもそういった身内がいる人たちばかりではない。

独身のまま年齢を重ねた一人っ子たちは、緊急連絡先に悩ましさを感じているという。

母が亡くなったら、緊急連絡先がなくなる

 IT企業勤務の30代男性・Aさんは、母親が40代の時に産まれた一人っ子で独身。

親族とは疎遠で、すでに父親は他界、頼れるのは「70代の母親だけ」だという。

 

「緊急連絡先を記載する必要があるたびに、母が亡くなったら、緊急連絡先がなくなるなと少し暗い気持ちになります」

 

 そんなAさんが憂えるのが「賃貸契約の緊急連絡先」だ。

「賃貸の保証人に対しては、保証人不要で保証会社が入る前提という物件が多いですけど、それとは別に緊急連絡先を求められることがほとんど。

緊急連絡先もセットで不要にしてほしいのが本音です。

 

 現状、保証会社に加入するためには、“高品質”な緊急連絡先が求められます。

不動産仲介会社から『できれば働いている現役の方』と言われたことがあります。

 

『70代の母なんですけど……』と言うと担当者に渋い顔をされて、厳しい現実を突きつけられました」(Aさん)

 Aさんは現在、都内の賃貸物件で一人暮らし。

30代半ばを過ぎてから、親が亡くなった後のことを考え始めたという。

 

「生命保険に入ろうとしたら、当たり前ですが受取人を求められました。

今のところ母親にしていますが、実際のところ順番的には母親のほうが先に亡くなるわけですから、母にしておくことの意味はあるのかなという感じですね。

まあ、そうなれば解約して自分で使えばいいと思っていますが……。

 

 親族は、探せば母方のきょうだいの子供もがいるようですが、会ったこともないので、そんな人を僕の保険金の受取人にしたくない。

いまだに血縁関係が求められる社会が生きづらいです」(Aさん)