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僕は虹が大好きだった

どうしても
いつかたどり着きたくて
いつか触れてみたくて
瞳の中も 心の中も
虹でいっぱいになった


だから
曇り空も雨空も 嫌いになった
見ていると苦しかったんだ
僕は目を背けた



けれど空は広い


大雨の日、こわくて苦しくて
走って走って逃げた

誰にもさよならも言わず
ただひたすらに逃げた

この胸が落ち着く場所を求めて
あの虹を求めて...


けれど
走っても走っても
虹は現れなかった



気づけば
慣れた町を遠く離れていた


服はボロボロ 
髪もぐしゃぐしゃ
からだは疲れきっていた


「あぁさびしいな」


思わずつぶやく


すると
途端に優しい声が頭の中で鳴った

慣れた町で
出会った人たちの顔が浮かぶ



ハッとした


思えば独りでここまで来てしまったのだ

せっかくあの日出会えたのに
せっかく一緒に過ごしたのに


"さよなら"を言ってない
"ありがとう"も言ってない







「帰らなきゃ」




来た道を戻った



もう忘れられてしまったかもしれない

いやものすごく怒っているかもしれない


そんなことばかり考えていた

頭の中も心の中も
もうその人たちでいっぱいだった




やっと町へ着いたとき
また、あの声が聞こえてきた

僕はびくびくしながら声の方へ歩いた


そこには町の人たちがいた


驚いたような顔で僕を見た

そして
すぐに優しい顔になった

「おかえり」

「心配したよ、生きててよかった」


優しい声でそう言うと
一人が僕を抱きしめた




ぽつり 


ぽつり




僕の瞳からは
涙が溢れ出していた


そう、町の人たちは
身勝手に独りになった僕の帰りを
心配して待っていてくれたのだ



こんなに
あたたかい場所にいたなんて
こんなに
想ってくれる人がいたなんて


ふがいなくて
うれしくて
ありがたくて

涙が止まらなかった


気づけば僕は
「ありがとう」と「ごめんね」を
繰り返していた






もう空は雨上がり


きれいな虹が架かっていた




「あ、、、」





泣き腫らした顔を上げて
僕は虹を見ていた




雨のおわりを待つから虹は見えるんだ



そんなことを思いながら。









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やっと、やっとね
歌詞が書けたんです

なんでこんなに書けないのかなぁ
やっぱりもっと本読まなきゃかなぁ

なんでだ
なんでだと

書きたいことはあるのに
書いてみるとどうも気に食わない

こんなに苦しくしたいわけじゃないのに
私の味方になるような曲にしたいのに


のに、のに、のに、!


息詰まった矢先


とある実体験のもと
歌詞はできあがったのでした。



やはり実体験って必要なのね





この曲を作ってから思ったこと、

虹に憧れて
前や上ばかり見ていたけれど

実は今立っている場所も
虹だったということ

見落としていた
自分の未熟さを感じると同時に

心の深いところから
「ありがとう」と思えた瞬間でした。




『虹の物語』



まだ生まれたてほやほやの曲なので
これからぐつぐつ煮詰めます


良い曲になりますように