2010年 東大数学 文系第3問 理系第3問(はじめの1手で場合分け、遷移図、樹形図) | 東大に文理両方で合格した男が綴る、受験の戦略

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2010確率の問題の解説

今日は2010年の確率の問題(ちょっと難しめです)

 

文系の問題

 

 

理系の問題は

 

今回も設定自体は文理ともに同じですが、理系には(3)が加えられています。

 

2つの情報を1つへ

とにかく、設定が分かりづらい。

問題文を読むと、何となく言っていることがわかりますが、よくこれだけややこしく書けるなところ思うくらい、ややこしい。

xとzの違いも分かりづらいし、yって何?って思いますし、恐らく問題文で何を言っているか分からず、1文字も書けずに終わった人も多いのではないでしょうか?

 

一応書いておくと、xというのは、はじめにLに入っているボールの数です。これに対し、zは、途中でLに入っているボールの数なので、操作を行うたびに変わります。

但し、x=3の時と、x=22の時では(つまり、始めのボールの数によって)その後に全く違うことが起ります。なので、xの数によって場合を分けながら樹形図や遷移図を描かなければなりません。

yというのは、漸化式を作った時にカッコの中に現れる数のことなので、解いてみないとわかりません。

 

と、文字の意味を読み解くだけでも一苦労。

ということで、やはり情報をいかに整理していくかがポイントなのです。

 

 

そこで今回ご紹介したい方法は、2つの情報を一つにするというもの。

この問題では、箱Lと箱Rが登場し、合計のボールの数が30個です。この合計30個というのがポイントです。なぜなら、箱Lのボールの数が分かれば、箱Rの数が分かる。逆もしかり。

つまり、2つの箱のボールの数を追わなくてよくて、一つの箱のボールの数だけ追っていれば良いのです。

よって、僕の解答では、箱Lのボールの数だけを記述に残しています。

 

これは数学では非常によく出る問題です。

例えば、「長方形の周の長さが20cm」と言われたときに、

①横をx、縦を10-xとおく

②横をx、縦をyとおき、x+y=10と立式する

のどちらで進めても解けるのと同じです。

 

2つの文字を設定するか、1つで済ませるか、場合に応じて使い分けるのですが、今回のように複雑な設定で、ややこしい情報が多い場合は、なるべく情報量を減らす方が良いでしょう。

 

遷移図を描く

では次に、複雑な問題の設定にいきましょう。

0≦z≦15とか、P(z)とか、色々書いてあって複雑ですね。これを読み解くのが大変なのですが、東大の確率の問題はこれこそが問題の山場なので、時間をかけて解き明かしましょう。

 

すると、このような遷移図にまとめられます。

 

 

遷移図は非常に情報量が多い図なので、色々言われてて複雑だった問題文も、たったこれだけの図で表せるのです。

 

ここまで情報を整理したら、次は樹形図です。

 

1手目で分岐する樹形図

通常、遷移図を描いたらすぐに漸化式が立てられるんですが、これで立てられないのが、この問題の難しいところ。

なんと、遷移図に加えて、樹形図も書かなければならないのです。

 

そこで1手目からの樹形図を描くと、このようになります。

まずは、0≦x≦15の時です。

 

 

始めの操作で表が出た場合、Lのボールの数が2xになります。

そこで、発想を少し変えます。

最初の1回を無視して、2~m回をまとめるのです。すなわち「はじめにLに2x個のボールが入ってる状態から初めて、m-1回の操作後にLに30個のボールが入っている確率」を求めるわけです。

操作の回数はm-1回、最初のボールが2x個だから、Pm-1(2x)とあらわせます。

 

 

次に青い方ですが、1回目の操作で裏が出ると、ボールが0個になりますが、その後、どんなコインの出方があってもLのボールは0個のままです。つまり、Lに30個のボールが入る確率は0。

 

ということで、上の図のような確率になるのです。

 

次に、16≦x≦30の時ですが、先ほどと同様に、このような樹形図になります。

 

上の赤い枠内は、1回目の操作で表が出て、Lのボールが30個になった場合以降です。

これは、必ずm回の操作後にLのボールが30個になりますので、確率は1

 

下の青い枠内は、

「最初のボールが2x-30個で、m-1回の操作後にLのボールが30個になる確率」ですので、Pm-1(2x-30)となります。

 

よって、Pm(x)が上の図のように求められます。

 

それにしても、あまり言いたくないですが、赤本などの解説は、わかってる僕が読んでも何が書いてあるかよくわからないんですよね。もっとわかりやすく書こうと思って書いたのですが、お分かりいただけましたでしょうか?

 

偶数の漸化式

では、(1)が解けたところで、(2)に行きましょう。

(2)の問題は、P2n(10)を求めよということですが、これまた分かりづらい。

日本語に言い換えると、「はじめのLのボールが10個だった時、2n回の操作後にLに30個のボールが入っている確率」を求めよということです。

 

ということで、x=10の時のボールの数を追っていくのですが、

(1)で求めた漸化式を忠実に使っていくと、あら不思議、確かに2n回(偶数回)の時に、カッコの中が10になります。

 

 

あとは、この偶奇の漸化式を解けばOK。

 

理系(3)に関しては、周期が4になっただけです。漸化式を何度も代入しますが、(2)と趣旨は全く同じ。

 

偶奇の漸化式の解き方は、少し工夫が必要ですが、手書きの解答の通りにやってくれれば、どんな場合も大丈夫です。

ということで、全体をごらんくださいませ。

 

まとめ

今回のポイントは、

・情報の整理(2情報を1情報へ)

・遷移図

・樹形図

・1手目で場合が分かれる

・偶奇(4で割った余り)の場合分け

と、とても多い。

かなり難しい問題だと思います。(とにかく問題文を読んで整理するのが難しいです。)

 

特に、1手目で場合が分かれる樹形図が登場するのが珍しいと思ったかもしれません。

しかし、2016年の確率の問題でも登場しています。よろしければご覧ください。

 

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