貿易銀特有の特長について書く予定だったのですが、コメントを拝見させて頂いて、

新1円銀貨について少々書いてみようと思いました。

 

【旧円銀と新円銀の違い】

 <旧円銀>

   明治3年銘の1円銀貨のことを、旧1円銀貨(きゅう いちえんぎんか)または旧円銀

   (きゅう えんぎん)と呼びます。

   旭日竜1円銀貨(きょくじつりゅう いちえんぎんか)と呼ばれていた時期もあったようで、

   『あさひりゅう いちえんぎんか』と呼ぶ方もおられます。

 〈デザイン〉

  《年号面》 

   中央に竜図、竜図の周りに玉列、その外側に銘文(一圓大日本・明治三年・)

  《菊紋面》

   上部中央に菊紋、上部左右に桐紋左側に桐枝葉、右側に菊枝葉、中央に旭日

 

 <新円銀>

   明治7年銘以降の1円銀貨を新1円銀貨(しん いちえんぎんか)または新円銀

   (しん えんぎん)と呼びます。

   竜1円銀貨(りゅう いちえんぎんか)と呼ばれていた時期もあるようです。

 〈デザイン〉

  《年号面》 

   中央に竜図、竜図の周りに玉列、その外側に銘文

   (416・ONE YEN・900・大日本・明治七年・)※明治7年銘の場合

  《菊紋面》

   上部中央に菊紋、左側に桐枝葉、右側に菊枝葉、中央に『一圓』の文字

 

【大型円銀と小型円銀】

 新1円銀貨は、大型円銀と小型円銀に大別されます。

  <大型円銀

    明治7年銘~明治20年銘

  <小型円銀>

    明治20年銘~大正3年銘

 

   明治20年銘には大型と小型の両方があります。

   円銀の製造設備の切り替えの時期だったためと思われます。

 

【製造の中断等】

 新1円銀貨には存在しない年銘があります。

 

  <大型円銀>

   明治8年銘が非常に少なく、明治9年銘、10年銘は製造されていません。

   これは貿易銀を明治8年銘、9年銘、10年銘で製造したことによります。

 

  <小型円銀>

   明治31~33年、40年、42~44年、大正2年の各年銘は製造されていません。

   大正元年銘は製造されていませんが、明治45年銘が製造されています。

 

【大型と小型の相違点】

  大型と小型では直径が異なります。

  日本貨幣カタログ2015年版(発行:日本貨幣商協同組合)によると、以下の通りです。

  (2020年版を持っておらず、少々古くてすみません)

 

  <大型円銀

    38.6mm

  <小型円銀

    38.1mm

 

  厳密には、明治19年銘に後期と呼ばれるタイプが少数あって、そのタイプのみ直径が

  38.3mmとなっています。

  ※量目は大型、小型ともに26.96gで変わっていません。

 

新1円銀貨 明治18年銘

  この新1円銀貨は収集再開後に催事で裸で入手したコインです。

  明治18年銘で大型に分類されます。

  状態は美品+レベルでしたが、大型円銀の特徴である平坦なフィールド面(底地部分)

  が印象的で、鏡面とまでは言えないものの、特に桐葉が美しく、トーンの雰囲気の良い

  コインでした。

  明治17年銘、18年銘の新円銀は、プルーフライクな出来映えのコインが多いようです。