最後のトリック (河出文庫)/河出書房新社

¥734
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 シーツを洗うタイミングが見つからない。管理人です。
すっきりしない天気に低気圧が続いて、体調を崩されている方も多いのではないでしょうか。低気圧になると具合が悪くなる人がいるというのを管理人も最近初めて知りました。ここ1週間ほど調子が乗らなかった人は、もしかしたら気圧のせいかもしれませんよ。

 さて、本日の本は深水黎一郎さん『最後のトリック』です。

 ミステリー作家である「私」のもとに、香坂誠一という人物から手紙が送られてきた。なんとその手紙には、犯人当てミステリーの最後の砦である「読者が犯人」のトリックを提供したいとの旨が書かれていた。逡巡する作家の下に届けられた2通目の手紙によると、そのトリックの値段は2億円。いったいそのトリックはどのようなものなのか?

以下、物語の核心に触れています。

 とっっってもチャレンジングで、ミステリーを普段読みなれている人には「おお!ついにやったか!!」という新たな扉を開いた作品なのだなぁと言うことが、島田御大の解説から分かります。話運びは面白く、ワクワクさせる言葉やオカルティックな要素も散りばめられて、あれよあれよとページをめくってしまいました。

 が、ちょっと私には合わなかった……。結末を知ったときにがっかりしてしまった……。

 対人恐怖による心臓発作はそもそも殺人……?というところから疑問に思ってしまいました。動機がないからどうも結末にすっきりしないんですね。これは自分が殺人に加担してなんかいない!って思いたいからなんでしょうか……。

 リアルタイムで小説が読者に読まれていることが、ラストのトリックに深く関係していますが、文庫で読んでしまっているので臨場感に欠けてしまって残念です。

 なんだろう、読み終わってこんなむなしい気持ちになったのは久しぶりです。途中まで楽しんで読んでいただけにとても残念。