二分間の冒険 (偕成社文庫)/偕成社

¥756
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 お正月、いかがお過ごしですか。
管理人は今日、久々に外の空気を吸いにデパートにまで足を伸ばしてみました。ものすごい人!人!人!わが町のどこにこんなに人が隠れていたのだろうというくらいの人でした。
 デパートなのでもちろん福袋があったんですが、私は福袋というものを買う心理が良く分からないんですね。欲しくないものは別に欲しくないんですよね。特に服。好みが全然違うものが来ても困ります。特にこんなヒキヲタニートの私のところにコーディネートの難しいシュッとした服が来たら困ります!!!!

 さて、本日の本は岡田淳さん『二分間の冒険』、児童書です。

 六年生の悟はある日、黒猫のダレカの力によってまったく別の世界に飛ばされてしまいます。元の世界に戻るには、ダレカが化けている何かを見つけなくてはなりません。
 飛ばされた先の世界には、人々の時間を食らう竜がいて日々小学生たちが生贄として差し出されていました。生贄となった少年と少女たちは竜の謎賭けに勝ち、その心臓に剣を突き立てなければなりません。もし負けてしまうと彼らは時間を吸い取られ、何の夢も希望もない老人にされてしまうのです。果たして悟は元の世界に戻れるのでしょうか。そして、竜と生贄の少年少女たちはどうなってしまうのでしょうか。

以下ネタバレ

 とにかくどきどきワクワク!!!!私はファンタジーはなんとなく置いてけぼりにされている気がして苦手なんですが、この作品は一つ一つの仕掛けに意味と説得力があってぐいぐい物語に引き込まれていきます。しかも解説の上野さんがおっしゃっているように、その裏テーマみたいなものが嫌味じゃないんです。手に汗握る面白い冒険がまずちゃんとあって、その裏にまるでサブリミナルみたいに意識しないけど心に残ってくるテーマみたいなものがあるんです。

 でもテーマとか考えなくても普通に面白いですよこれ。竜の出すなぞなぞとか私ひとっつもわかりませんでしたからね!!!小学生賢いなぁ!!!謎賭けの勝負のときに、みんなで力を合わせていく過程が自然で好きです。ただ漠然と良い子ちゃんたちがそろっているんじゃなくて「結局力を合わせたほうが物事がスムーズに、良いほうに進むから」という至極単純でしかし的を射た理論があるのがいいのです。

 悟はこれだけの冒険をして、また日常に帰ってきたとき、もちろん元の世界は全然変わっていないんですよね。たった二分間しか経っていないから。でも悟には少しだけ世界が違って見えるんです。これって本を読む感覚に似ている気がします。もちろん二分じゃ読めないんですけど、現実ではただ目が活字を追っていっているだけで、読む前と読んだ後には世界は変わらない。だけど、自分には何か変化が起きている。なんだろう、上手く言えないけど、メタ的な読書体験ができたというか……。

 小学生のときに読みたかったな。