凍花 (双葉文庫)/双葉社

¥648
Amazon.co.jp

 長女の百合ねぇは何でもこなす完璧な人。綺麗な容姿に賢い頭に母親のような優しさ。次女の梨花ねぇはわがままなところがあったり男にだらしないところがあったりするけど、モテモテの人気者。そんな二人の姉を誇りに思っている三女の柚香。「三人揃えば、最強の三姉妹」……だと思っていた、百合ねぇが梨花ねぇを殺すまでは。

 完璧だと信じていた優しい百合ねぇはいったいなぜ次女を殺すにいたったのか。近いようで一番謎の多い存在である姉妹の恐ろしい秘密を探るお話です。

以下ネタばれ

 軽い語り口で読みやすく、一気に引き込まれます。憧れだった百合ねぇの自分の知らない姿が徐々に浮き彫りになっていき、彼女の印象が180度変わってしまう。一つ屋根の下、仲良くしてくれていたと思っていた姉が、影では自分たちの悪口を日記に書いていた。ショックを受けて姉は頭がおかしいやつなんだと思おうとする柚香だが、その日記の真実の意味に気づいて……。

 という話なんですが、なんだろうリアリティがあるようでいて伝わってくるものがなかったです。人が見せている表面的なものと実態には違いがあるよなんていうのは当たり前だと思うし、それをずっと表に出せなくて日記にしか吐き出すところがなかった姉には私のようなぐうたらなやつは共感もできず、あまりにデリカシーがなさ過ぎる主人公の柚香にはなんだか腹が立ってしまい……。百合が妹を殺した感情を追体験していくのが本書の肝だと思うのですが、しびれるような「あーーーわかる」が自分にはなかったです。

 評価が高い本なので、きっと他の人は共感できているのだと思います。SMAPの中居さんがおススメされていたようですね。私には合わなかったというだけなのかな、残念。