宇宙のみなしご (フォア文庫)/理論社

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本日二冊目の本は森絵都さん『宇宙のみなしご』です。

特に嫌な事があったわけではないが不登校の陽子と、
誰にでも好かれるその弟のリン。
両親が仕事で忙しい姉弟は、遊びを生み出す天才でした。
彼女達が次に見つけた遊びは屋根のぼり。
屋根に登って星を見る、それだけの遊び。
しかしその屋根のぼりに新たな参加者が加わって……。

以下ネタバレ

この本を読んでいて生徒たちの距離感が
あーリアルだなぁと思いました。
重大ないじめでも発生していない限り、
子供は「何となく嫌」や
「話すけど特に一緒にいたいとは思わない」
のような淡泊な人付き合いをしているんですよね。

私は陽子のような人間でした。
仲がいい人とだけ話せればいい。
遊ぶのは弟とだけでいい。

しかしそこに、同じクラスの七瀬さんが加わります。
特に仲がいいわけではないのに
弟経由で何故かくる事になっちゃった。
そしてさらにパソコンオタクのキオスクも。

異分子を受け入れるということはトラブルの元。
七瀬が陸上部にいかなかったり
キオスクが窓から落ちて大問題になったり
ほんと人付き合いってめんどくさいです。

でも、それらを乗り越えて最後の屋根のぼりをするときに
自分たちは宇宙のみなしごだけれど
たまにはこうやって手をつなぐ事が出来るんだなと
少しだけほっとするわけですね。
大人になるためのイニシエーションみたいなものなのかな。