アドリア海の復讐〈上〉 (集英社文庫―ジュール・ヴェルヌ・コレクション)/集英社

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アドリア海の復讐〈下〉 (集英社文庫―ジュール・ヴェルヌ・コレクション)/集英社

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皆さんこんにちは~( ゚∀゚)o彡°

最近暑かったり寒かったり体調管理が難しいですね。
かくいう管理人も週末になるとなぜかのどの風邪を引いています。
疲れが溜まる時期ですし、6月は祝日がなくてテンションが下がりますが
周りの人もきっと同じですし、焦らずやって参りましょう。

さて、ジュール・ヴェルヌ月間2作目は『アドリア海の復讐』であります。

私は復讐譚が大好きでありまして、巌窟王・白髪鬼・夏への扉も一応そうかな?日々復讐に飢えた主人公を求めてさまよい歩いているのであります。本作はデュマの『モンテ・クリスト伯』へのオマージュとして書かれた冒険小説の色合いの強い復讐物語です。ヴェルヌは科学小説家という認識がかなり強いですが、後期の作品はどちらかというと心躍る冒険譚が多めだそうな。本作も小難しい圧力や天体、速度、地理の話はそんなに出てきませんので楽しく読む事が出来ますよ!

舞台はヨーロッパとアフリカに挟まれた地中海とアドリア海。時は1867年祖国ハンガリーを取り戻すために3人の男が行動を起こそうとした矢先、金欲しさに彼らを売り飛ばした奴らによって3人はとらえられてしまいます。彼らの名前はマーチャーシュ・サンドルフ伯爵、ラディシュラシュ・ザトマール伯爵、エチューヌ・バートリー教授、厚い友情で結ばれた志士達でありました。

とらえられ死を待つだけとなった3人は、牢獄の中で彼らを裏切った者の名前を知ります。サルカニーという悪知恵の働くチンピラとシーラシュ・トロンタルという銀行家が共謀して彼らを政府に売り飛ばしたのでありました。真実を知った3人は脱獄を計画しますが、その道中ザトマール伯爵とバートリー教授は敵の手に落ち命を落としてしまいます。生き残ったサンドルフ伯爵は復讐を誓いその機会を待つのでした。

ここまでが第一部です。全部で5部構成の手に汗握る復讐劇。
サンドルフ伯爵はどのようにして敵を見つけ、どのように復讐するのか。
殺された同士たちの家族はどうしているのか。
伯爵の娘はどうなったのか。
是非皆さんの目でその冒険を読んでみてくださいね。

以下ネタバレ

もうね!!!50ページ毎に泣けんのね!!!
まずザトマールの死で泣くよね。「にげろ!」ってね、自分が見つかっちゃうのに忠告してくれたザトマとね「かわいそうに!」っつって「彼を置いていくのか」ってわかりきった事聞いちゃうバートリーね!泣くよねここ。
助けてくれた漁師のおっちゃんにも泣くよね。アンドレアいいやつ。そこでさらにバートリーも死んじゃって第一部にして管理人の涙腺崩壊してるよね。

「逃げてくれ」と彼は叫んだ。「逃げろ、マーチャーシュ」
「いけない、エチューヌ、だめだ。死ぬのは一緒だ」
(中略)
「逃げるんだ、マーチャーシュ」エチューヌ・バートリーは繰り返し叫んだ。「生き延びて、裏切り者を裁いてくれ」

以上引用。
もう最初からクライマックスですかと。おじさん達の厚い友情をバスで読んでた管理人のアイメイクはどうなりますかと。わかってるけど!サンドルフ生き残ってこいつ死ぬの知ってるけど!!でも泣ける。

二部もね、大山マティフーととんがりペスカードね。大山さんって名前じゃないからね。大男ってことね。
こいつら超いいやつ。この物語で一番好きかもしれない。
何がいいって貧しても鈍してないところ。サルカニーも密告者カルペナもこの二人も、みんな貧乏という点では同じなんですよね。明日食う金に困ってる。でもこの二人は善行故にサンドルフ伯爵の目に留まってどんどんのし上がっていく訳です。このサクセス!!!命を張ってサンドルフにつかえても「給料あげてくださいよマジで。こっちは体はってんすよ」とか言わないの。

三、四、五部はもうRPG。アンキテクト(サンドルフ)のワンダーランド。
一部でお世話になったご子息、ご息女、奥さん、使用人を仲間にしていくRPG。あの人もあの人も登場。いちいち涙腺崩壊。リュイジ君に偶然会ったときは「おいおいおい、神様サービスし過ぎだろ」と思ったけどオッケー!もうなんでもあり!


もう王道!復讐劇の面白いとこ全部詰め込んだ傑作だと思います。復讐劇のいいところは復讐される側がとことんクズでいてくれるところだよね「殺すのはやり過ぎじゃない……?」と全く思わないので安心して読めます。サンドルフ陣営も誰も傷つかないしね。

最後の締めの言葉がマティフーとカスペードってのも管理人的にはもうぐっと来てます。ヴェルヌは「忠実な部下」っていうキャラクターが好きだよね。私も好きじゃ!