人質の朗読会/中央公論新社
¥1,470
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みなさんこんばんはー(*´∀`*)
 
さて、本日二冊目は小川洋子『人質の朗読会』です。
最近クラフト・エヴィング商会さんと共著されているのを知りまして、
似たような雰囲気なら好きかも~と手にとってみました。
全く前知識なく目に入ったのを借りたのですが、
これ、もうすぐWOWOWでスペシャルドラマ化されるそうです。
そちらもチェックチェックですよ!
 
『人質の朗読会』はその名のとおり、
あるアフリカ(又は中東?)のとある村でテロに巻き込まれた
日本人の人質8人が、朗読会をするお話です。
こんな異常で非常な状況で!?と思いましたが、
100日以上ももずっと拘束された状態だと
恐怖など麻痺してしまって自分に残された時間を
じっくりと振り返りたいと思うものかもしれません。
 
全部で8(+1)篇の平凡で何気ない、しかして煌きを含んだ日常が語られます。
足を折ってしまったおじさんを助けた話。
ビスケットと貧しい大家さんの話。
自分を受け入れてくれた市民ホールの談話室の話。
汚いおじさんのヤマネのぬいぐるみとおんぶの話。
ゾンビに飲ませる透き通ったコンソメスープの話。
たった一度だけ会ったやり投げの青年の話。
いつも似ていると言われる死んだおばあさんの話。
誰かに捧げられた花束の話。
 
これはなんだか共感するなぁというものと
いまいちピンとこないものがありました。
多分、これを読んだほかの人もそうだったんじゃないでしょうか。
そして、それぞれ違う話にピンと来ているんじゃないでしょうか。
 
どれも他愛のない話なのに、
小川さんの筆によってそれはダイヤの原石になる。そんな感じ。
しかもそのダイヤの輝きは、自分にしか見えない。
ほかの人にそれを見せてもただの石にか見えない。そんな感じ。
 
面白い読書体験って、本にのめり込んでいくような感覚があるんですが、
この本はどちらかというと本がぐいぐい自分に入り込んでくる。
「お前は何を朗読するんだ?ん?」って言ってくる。
そう考えると、人質の死を悲しんでいる場合じゃなくなってくる。

人質は私なんだと気づく。